やってはいけないこれだけの理由

第33回「政治家の発言を吟味して取引しないといけない」

この数週間、ドル円をトレードしている人は毎日大きな上下の動きに振り回されたことでしょう。

米国の経済指標の結果だけでなく、日銀総裁の人事をめぐる報道や「うわさ」が

よりボラタイルな(=値動きの荒い)相場にしてしまいました。


今回の「やってはいけない」ことは、日銀の人事をめぐる「うわさ」などで、相場が動いた場合

その後の政治家の発言を吟味しないで取引をやってはいけない、理由を記載します。


また、その「うわさ」について、政治家がどのように回答したかをめぐり、

市場関係者はどのようなポジションを持ったのか、

そして、FXを取引したばかりの人は、どのようにポジションを持つべきかを記載したいと思います。


日銀総裁巡り行ったり来たり…ポジションの保持方法は?


日銀の黒田総裁の任期が迫ってきたことから、総裁の後任人事が市場の注目になっていました。

その中で最初にサプライズを出したのが、2月6日の日経新聞で「雨宮現副総裁に総裁を打診」と、報じられたことです。

黒田路線継続という思惑で、ドル円が一気に円安に動きました。


以前、ここでも記載しましたが、本邦の新聞は政治家の意向を先に出すことが多いことで

その情報を信用してポジションを取る意義があると記載しました。

この報道も、市場が円安に動くことは理解できますし、「中長期でも黒田路線継承で円安が続く可能性があるのでは」

との判断を下し、円ショートを持つことは理にかなっていると言えます。


しかし、新聞が掲載された6日から様々な発言が政府から出てきました。


6日午前、鈴木財務相「何も聞いていない」と発言

はじめ、この発言を聞いたときは、「まぁ、政府は最初は否定をするだろうな」というのが多くの市場関係者にとっては共通認識。

政治的決断だけではなく、M&Aなどの企業情報も、はじめの多くは否定から始まることもあります。


6日昼前、磯崎官房副長官「(雨宮氏に総裁打診との報道)そのような事実はない」と発言。

市場関係者は「財務相が否定したのに官房副長官が肯定するわけは行かないよな」という印象。

円買いに反応するものの、それほど大きな円買いにはならず。


6日午後、梶山自民幹事長代行も否定発言。

ここまで、否定が連続すると流石に市場関係者も「あれ?」という印象。

敢えて円を積極的に買い戻さなくても、少なくとも円買い(ドル売り)のチャンスがあったら

逃げ切ろうとの心理が生まれ、徐々にドルの上値が重くなっていきます。


そして、6日夕刻に茂木自民党幹事長が「雨宮副総裁に日銀総裁打診」との報道を否定。

自民党三役の一人が否定。これを翻すのであれば、自民党幹事長の立場が無くなるでしょう。

もう、完全に雨宮日銀副総裁が総裁に就く可能性が薄れた、との判断になります。



ここで、報道についてをもう一度読み直してほしいのですが、今回の報道はあくまでも「打診」だったわけです。

実際に雨宮氏には打診があったようですが、黒田路線を一緒に進めていたこともあり、

本人が同時に身を引くことを決定したようで、決して報道が間違えていたわけではありません。


市場関係者の中には、勝手に「打診」を「決定」「濃厚」など決めつけていた人もいました。

スタートから何も決定されてなかったにも関わらずです。


そして、上述のように

最初の否定→よくあること、2番目の否定→たまにあること

3番目の否定→ちょっと否定が多くて気になる、4番目の否定→これは何か違うぞ、となるわけです。


市場は4番目の否定後も、まだそれほど円の買戻しにはなっていませんでした。

しかし、政治家の発言を吟味すれば、少なくとも4番目の否定がでたらすぐにポジションを閉じるべきでしょう。

その後、再び円安に戻ったとはいえ、10日には植田元日銀審議委員が次期総裁候補となったことで、一時大きく円高に傾いています。


日中、すべての政治家の発言を追いかけるのは難しいでしょうが、為替情報サイトには重要発言も出ていますので

「誰がどのような発言をしたのかを追いかけないでトレードをやってはいけない」と、言えます。




この連載の一覧
第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
第89回「カントリーリスク・・・混迷する世界情勢を知らないでやってはいけない?」
第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
第87回「それって何の講演?・・・講演内容を知らないでやってはいけない」
第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
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第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
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第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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