毎週、中央銀行関係者などが講演を行うことで、市場はその講演内容に注目が集まります。
講演が出来ないのは、いわゆるブラックアウト期間にあたりますが、ブラックアウト期間は
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
に記載したように、各中銀によって期間が定められています。
講演の内容をアップデートするのは、経済情勢により中銀関係者がハト派からタカ派
もしくはその逆に変わっていることもあり、最新の考えを頭に入れておかなければなりません。
このことも第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」
に記載しました。
講演の重要度を知る
中銀要人の講演内容を知るのは重要ですが、あまりにも頻繁に要人の講演があることで
毎回毎回チェックをするのは大変でしょう。
よって、どの人の講演が重要なのかなどを取捨選択する必要もあります。
例えば、米連邦準備理事会(FRB)関係者でしたら、その年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の
投票権のあるメンバーの講演が重要になります。
このことは第21回「FOMC…乗り遅れない!今年のメンバーはもう忘れよう」に記載していますが
今年はクリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコの連銀総裁に投票権は移っています。
また、これらのメンバーでも、FOMCが行われた最初の講演や、重要指標が出た後の講演などは
これまで以上に重要になります。逆に連日講演が行われる場合は余程のことがない限り
新しいことを言うとは思えないので、初日以外は重要度が減ってくるでしょう。
先週の中銀総裁の発言は・・・
先週は5日に植田日銀総裁、6-7日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がそれぞれ発言をする機会がありました。
週末の3月2日には「(本邦)政府がデフレ脱却を表明する」との一部報道が流れました。
2月22日の衆議院予算委員会で植田総裁が「基調的な物価上昇率は徐々に高まりつつある」
「デフレではなくインフレの状態にある」と発言したこともあり
5日には植田総裁が政府見解について何か言うのではとの噂を広げた人もいました。
しかし、結局はこのようなことへの言及はなかったのですが、それもそのはずで
事前に植田日銀総裁が何の会議に登壇するかを調べている人からすれば、言及されなかったのは当然と思ったことでしょう。
5日に植田総裁が登壇したのは、フィンテックの最新動向や金融分野での社会課題解決などを議論する「FIN/SUM2024」
だったので、中央銀行デジタル通貨(CBDC)以外の発言が伝わらなかったのは、もっともなことだったのです。
逆にパウエルFRB議長は、半期に一度行われる米上下院・金融サービス委員会で、金融政策や経済情勢に関する証言でした。
経済情勢や金融政策について言及することは確実なことで、この証言は重要なのは誰もが分かることでした。
事前に調べれば無駄にならない
上述のように講演者、講演のタイミング、講演主催者等で、講演の重要度が変わってきます。
わからない場合は検索すれば、どこで、どのような議題の会議に登壇するかはネットでも調べることが出来ます。
また、FRB要人の講演では講演の後に質疑応答があるかなどの有無も丁寧に記載していることもあります。
講演が重要なのは当然ですが、24時間開いているFX市場ですべて見るのは厳しく、重要度の優劣をつけない限り
トレードしている人たちも体がもたないことでしょう。
ほんの少しの検索でわかることですので、事前に調べれば無駄にスタンバイもしなくて済みますので
その少しの検索を行わずに、講演を待っているのは骨折り損のくたびれ儲けになってしまいます。