やってはいけないこれだけの理由

第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」

10月は介入ゼロ・・・赤っ恥をかいた指南役たち


10月3日に、ドル円が150円台に乗せた後に147円台まで急落しました。

動いたのが日本時間の23時過ぎだったのですが、市場では本邦当局による「円買い介入」

との話も出ました。


翌日になると、いわゆる指南役とされる元ディーラーが

「介入のアマウントは非常に少しだけ」「邦銀の1行にだけ売りが出た」

「数千本だけしかドルを売っていない」などと発言が伝わってきました。


しかし、10月31日に公表された介入実績が分かる外国為替平衡操作の実施状況では

この日は介入など全く行われなかったことが判明。

前言を発していた事情通とされる指南役はとんだ赤っ恥をかいたわけです。


介入は口外禁止


そもそも、このような金融機関のディーラーが指南役に介入という最も口外してはいけない

コンプライアンスが重要視されることを他人に伝えることは、まずありません。


以前勤務していた金融機関では、同じ部屋(ディーリングルーム)で働いている同僚にさえ

介入をしていることを口外禁止になっていました。


同僚にも言わない・言えないことを、かつての同僚だからと言って

介入が行われた当日・翌日に伝えることはありません。

伝えたのがばれた場合には、外銀では間違いなく解雇されます。だれがそんなリスクを取るでしょうか?


介入翌日に「あれは介入」などと発言している人ほど、出鱈目だということです。

(値動きなどで明らかに分かるものもありますが)


因みに金融機関に寄りけりですが、私が働いていたところは日中の携帯電話は一切禁止。

携帯を触ることも許されません。中では携帯を帰宅まで会社に預けるところもあります。

メールも社内メールのみ使用可能で、必要とあればメール内容なども全てチェックされます。



金融機関のディーラー同士ではGive&Takeの関係もあります。

例えば大きな売りオーダーを持っていたら、仲の良い仲間にはそのようなことを匂わせたり

そのお返しに、これから大きなドル売りが出ると分かっていたら「いまは自分はドルロングにはしない」

などと話したりするときもあります。


しかし、介入に対してはそんなことを話すことはご法度ですし

Give&Takeの関係もなくなった、元ディーラーなどに伝えてもTakeするものもなく

介入の情報は伝わらないものです。


介入時は取材も難しい


これまでの介入は、まずは邦銀のメガバンクに入ります。

色からするとメガバンクの赤、続いて青、が最初の介入金融機関とされています。

(色は銀行のシンボルカラーです、他にもメガは緑もあります)


その後に大手外資系金融機関へと介入玉が広がっていきます。

もちろん外資系金融機関の中でも優劣があり、介入玉が多いところと少ないところがあります。


10月3日に介入のうわさがあった後に、介入があったか否かを報道が

複数の金融機関などに取材をしていましたが、取材の回答先が外資系金融機関(しかもあまり介入が入らないところ)

や証券系などが中心で、肝心のメガバンク(特に赤と青)には取材していません。

と、言うのも一番介入が行われる金融機関であるメガバンクに取材をしても応えることができないからです。


今回のように水準的に介入が行われる可能性が高い場合は、介入のうわさが後を絶ちません。

しかし、上述のように介入は口外禁止なので、噂の領域を出ない状況で、指南役は知る由もなく

それを信じて取引をやってはいけないと思います。



この連載の一覧
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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