やってはいけないこれだけの理由

第105回「スポーツ賭博もFXも②・・・嘘が常態化する人はやってはいけない」

第93回で、スポーツ賭博とFXにも共通する依存症のバンプについて説明しました。

ギャンブル依存症はバンプ以外にも共通点があります。


嘘をつく


ギャンブル依存症になり、負け(損失)が込んでくると、その負けをいかに隠すかを画策します。

損失を隠すための最大にして唯一の手段は「嘘をつく」ことです。

本人からすると、現在の損失は一時的で、自分は儲けることが出来る

儲けることが出来るから、出来るだけ大きめのバンプを必要としていると思っています。


嘘をついているものの、これは現在ある損失はすぐになくなり、取り返せるのだから

これは嘘というわけではない、と辻褄が合おうが合わないが思考的にそうなっているようです。

そして、損失はいずれ無くなるということを信じ切っています。


スポーツ賭博を行ったと発覚したのにもかかわらず、送金も同意を得ていたと発言するなど

嘘が嘘を呼んでしまいます。

この嘘があまりにも大規模なため発覚するのが遅くなり、どれが嘘か周りは見抜けなくなります。


FXの世界でも嘘をつき巨額の架空売買も


FXの世界でも、このような行為を行った者は、巧みに嘘をつき自分の金融機関ではなく

他の金融機関と取引が行われたような画策を取ります。


具体的な一例では、同僚だったHというディーラーは、大学の後輩が働いている商社と

架空の取引を行ったように見せていました。

その取引の決済日がスポット(2営業日)ではなく、フォワード取引だったり

こまごまとした細工をしていました。


更にたちが悪かったのが、この後輩もその事実を知っていたことです。

大学の後輩なだけでなく、就職後も麻雀仲間で、接待も異常な回数をこなしていました。

最終的には、不正取引発覚後に後輩には反対売買を入れて、何もないような形にはしましたが

自分の金融機関以外が間に入ると、不正を探すのが余計難しくなります。


バンプの時は、バンプを行おうとしていたら、すでに依存症の兆候と分かりますが

上述のように嘘をついている人たちは、自分が嘘をついている認識が低いことが問題です。

よって、本来ならばそこで取引をやめるべきなのに、認識が低く、嘘をつき続け被害が拡大します。


自分がこのようになった場合は、もう手遅れかもしれません。

しかし、自分の周りでFXをやっている人で、いつも儲かっているような口ぶりをする人は

おそらく嘘をついています。


何とかしてその人が深みにはまらないように、FXをやらないようにしなくてはならないでしょう。






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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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