外国為替の世界で英語が必要か否か、との問いですが、英語は出来たほうが圧倒的に優位です。
その優位性についてはいつか記載しますが、今回は原文(主に英語)を読むことの重要性を記載します。
日本語の報道だけを信じてトレードをしてはいけないことが、今回の「やってはいけない」ことです。
英語は読みたくない、でも翻訳訳ソフトでOK
原文、と聞きアレルギー反応を示すかもしれませんが、心配は無用です。
最近ではネットで原文を簡単に日本語に訳せますし、日本語訳のソフトだって簡単に手に入ります。
要はその程度でもよいので、原文をしっかり読むことと、原文と日本語訳の微妙なニュアンスが違ったりすることが分かります。
日本政府の発表も疑ってかかれ
為替の話の前に、英語と日本語ではこれほど違うという例を一つ上げてみます。
日米物品貿易協定(TAG:Trade Agreement on Goods)、という言葉を覚えている人はどれだけいるでしょうか?
2018年は、日本は第2次安倍政権、米国はトランプ政権でしたが、両国間で通商協議が行われました。
9月後半の日米通商協議後に日本政府は、日米間の新たな通商協議である「日米物品貿易協定(TAG)」
が行われたと発表し、そのように報道されました。
安倍首相が「これまで(の自由貿易協定=FTA)と全く異なる」と表現したように、
日本語だけの報道を見ていると、新たな取り組みが行われたと思ったでしょう。
しかしながら、米国サイドは「TAG」などという言葉を一切使用していません。
米国側の声明では「Agree to Negotiate a Free Trade Agreement」と従来のFTAを使用していました。
結局、この交渉は全く異なるものではなく、日本だけTAGという造語を作り
今ではこの言葉すら覚えている人が少ないくらい、まやかしでした。
これは非常に極端な例ですが
両国政府の公式の声明ですら、これほど変わるわけですので、
言葉のニュアンスが英語と日本語では違うことや、文の切り取りにより真意が違うことも多々あります。
イエレン米財務長官のインタビュー
10月初旬にファイナンシャルタイムズ(FT)紙に掲載されたイエレン米財務長官のインタビューも興味深い内容でした。
このインタビューが掲載される週にはG20、国際通貨基金(IMF)、世界銀行
などの会議が1週間にわたって米国で開催されています。
日本がドル売り介入を行っただけでなく、
ドル高に新興国が苦しんでいることで、
上述の国際会議でドル高の修正も行われるのではとの声もありました。
このイエレン米財務長官のインタビューで
「途上国が直面している問題を懸念している」との発言が初めに伝わってきました。
(原文はWe’re very worried about developing countries and the problems they face)
この部分を先に目にした人が、イエレン米財務長官の発言した「途上国が直面している問題」が
通貨安と勘違いした人がいました。
しかし、実際の原文をしっかり読むと、この文の流れは「石油輸出国機構(OPEC)が減産すること」について話していて
その後も、この減産問題が新興国への影響を与えることを懸念しているとの内容でした。
今回は最初に文を読んだ人の早合点でしたが、
文の切り取り方により、内容が異なって伝わることは実は多々あります。
要人の微妙な言葉遣いは今後の為替をうらなう上では重要なので
翻訳ソフトで簡単に読めますので、英語が苦手の人でも是非一読して
本当に要人が発言している意味を精査する必要があると思います。