やってはいけないこれだけの理由

【やってはいけないこれだけの理由】第19回「日本語を信じるな…翻訳ソフトで良いので原文を読む」

外国為替の世界で英語が必要か否か、との問いですが、英語は出来たほうが圧倒的に優位です。

その優位性についてはいつか記載しますが、今回は原文(主に英語)を読むことの重要性を記載します。


日本語の報道だけを信じてトレードをしてはいけないことが、今回の「やってはいけない」ことです。

 

英語は読みたくない、でも翻訳訳ソフトでOK

 

原文、と聞きアレルギー反応を示すかもしれませんが、心配は無用です。

最近ではネットで原文を簡単に日本語に訳せますし、日本語訳のソフトだって簡単に手に入ります。

要はその程度でもよいので、原文をしっかり読むことと、原文と日本語訳の微妙なニュアンスが違ったりすることが分かります。

 

日本政府の発表も疑ってかかれ

 

為替の話の前に、英語と日本語ではこれほど違うという例を一つ上げてみます。

 

日米物品貿易協定(TAG:Trade Agreement on Goods)、という言葉を覚えている人はどれだけいるでしょうか?

 

2018年は、日本は第2次安倍政権、米国はトランプ政権でしたが、両国間で通商協議が行われました。

9月後半の日米通商協議後に日本政府は、日米間の新たな通商協議である「日米物品貿易協定(TAG)」

が行われたと発表し、そのように報道されました。

 

安倍首相が「これまで(の自由貿易協定=FTA)と全く異なる」と表現したように、

日本語だけの報道を見ていると、新たな取り組みが行われたと思ったでしょう。


しかしながら、米国サイドは「TAG」などという言葉を一切使用していません。

米国側の声明では「Agree to Negotiate a Free Trade Agreement」と従来のFTAを使用していました。


結局、この交渉は全く異なるものではなく、日本だけTAGという造語を作り

今ではこの言葉すら覚えている人が少ないくらい、まやかしでした。

 

これは非常に極端な例ですが

両国政府の公式の声明ですら、これほど変わるわけですので、

言葉のニュアンスが英語と日本語では違うことや、文の切り取りにより真意が違うことも多々あります。

 

イエレン米財務長官のインタビュー

 

10月初旬にファイナンシャルタイムズ(FT)紙に掲載されたイエレン米財務長官のインタビューも興味深い内容でした。

 


このインタビューが掲載される週にはG20、国際通貨基金(IMF)、世界銀行

などの会議が1週間にわたって米国で開催されています。


日本がドル売り介入を行っただけでなく、

ドル高に新興国が苦しんでいることで、

上述の国際会議でドル高の修正も行われるのではとの声もありました。


このイエレン米財務長官のインタビューで

「途上国が直面している問題を懸念している」との発言が初めに伝わってきました。

(原文はWe’re very worried about developing countries and the problems they face)


この部分を先に目にした人が、イエレン米財務長官の発言した「途上国が直面している問題」が

通貨安と勘違いした人がいました。


しかし、実際の原文をしっかり読むと、この文の流れは「石油輸出国機構(OPEC)が減産すること」について話していて

その後も、この減産問題が新興国への影響を与えることを懸念しているとの内容でした。


今回は最初に文を読んだ人の早合点でしたが、

文の切り取り方により、内容が異なって伝わることは実は多々あります。

 

要人の微妙な言葉遣いは今後の為替をうらなう上では重要なので

翻訳ソフトで簡単に読めますので、英語が苦手の人でも是非一読して

本当に要人が発言している意味を精査する必要があると思います。

この連載の一覧
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
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第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
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第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
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第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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