11月10日に、米国の10月消費者物価指数(CPI)が発表されたのはご存じかと思います。
市場予想を大幅に下回る結果となったことで、米国のインフレがピークアウトし
利上げ幅が今後縮小し、ターミナルレート(金利の最終到着点)も低くなるのではとの予想になりました。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」も
この結果を受けて12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ幅は
約8割50ベーシスポイントという予想に傾きました。
今回はこの結果を受けて、今年のメンバーを追いかけるのは「やってはいけない」
(本当はそんなに大袈裟ではありませんが)
来年のメンバーを追いかけようということについて説明します。
FOMCの投票メンバーは?
FOMCはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を、はじめ副議長のブレイナード氏、バー氏
4名の理事(ボウマン氏、ウォラー氏、クック氏、ジェファーソン氏)
は毎年FOMCで利上げをする、しない、どれくらい、などの投票権を持っています。
それ以外にも12地区に連銀があります。(下記参照)
ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、クリーブランド、
リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス
ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコ
地名で入っていますが、カンザスシティはミズーリ州だけを見ているわけではなく
コロラド州・カンザス州・ネブラスカ州・オクラホマ州・ワイオミング州・ニューメキシコ州
など広範囲を管轄しています。
この中でニューヨークは毎年投票権がありますが、他の12地区は輪番制となっています。
今年、2022年は
コリンズ・ボストン連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、
ブラード・セントルイス連銀総裁、ジョージ米カンザスティ連銀総裁
が輪番で投票権を持っていました。
市場では議長、副議長、理事だけでなく、
特に今年はこの4人の発言に注目が集まったのは投票権を持っているからです。
もう今年は終わり・・・乗り遅れるな
上述したように、12月13-14日に行われるFOMCでは
これからインフレ指標や雇用指標によほど変化がない限りは
50ベーシスの利上げがほぼ濃厚でしょう。
しかしながら、来年以後はまだまだ分かりません。
ここ最近はIT企業を中心に米国ではレイオフが急速に進んでいます。
ウクライナ情勢もまだ流動的ですし、インフレがどのように進むかもわかりません。
よって、上述の「フェドウォッチ」も
来年2月の最初の利上げ予想は4.50-4.75%と4.75-5.00%
の利上げが非常に拮抗した状況で推移しています。
今後も様々な地区の状況を知るために重要ですが、これまでの4連銀の重要度は下がってきます。
まだ12月にFOMCがおこなわれるとはいえ、すでにほぼ結果が見えているものよりも
結果が分からない来年の方が重要です。
今年の投票権の4人のメンバーの発言を追いかけるのは、ある程度でもう良いでしょう。
それよりも、来年の動きに乗り遅れないようにしましょう。
なお、来年は下記メンバーが投票メンバーですので、
下記メンバーの講演を聞き逃さないようにしておきたいとことです。
2023年投票権を保持する連銀総裁
ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁
エバンズ・シカゴ連銀総裁
カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
ローガン・ダラス連銀総裁