第2次トランプ政権、すでに難航の船出
トランプ氏が米大統領に返り咲いてから、矢継ぎ早に大統領れを発令しました。
これまで
・WHO(世界保健機関)からの離脱
・パリ協定からの離脱
・アラスカの石油とガス採掘の解除
・メキシコ湾の呼称をアメリカ湾への変更
・北米最高峰の名前の変更
・不法移民でアメリカで生まれた子供に対する市民権付与の廃止
・政府効率化省の新設
・人員削減の計画ができるまで、軍などを除いて連邦職員の新規雇用凍結
など、多くが署名されました。
ただ、30日にアメリカン航空の旅客機と米軍ヘリが空中衝突したことで、すでに上述の連邦政府の新規雇用凍結について非難を浴びています。
航空の安全を担う管制官も、これに該当することになるからです。
今回の衝突がトランプ政権に直接は責任がないとしても、人員削減を優先することで安全性が失われる確率が増えます。
元々、実業家であるトランプ大統領や政権の懐刀であるイーロンマスク氏はビジネスマンですので、人員削減が手っ取り早い赤字削減でもあるのですが、営利団体と政府では抱えているものが違うのに、このような進め方に多くの識者からは疑念の声が高まっています。
ついに隣国カナダとメキシコへの課税強化へ?
兼ねてから就任と同時にカナダとメキシコへの25%への課税、中国への10%増の追加課税を明言していました。
ただ、就任時はすぐには課税しなかったことで、いつものように「課税するぞ」と脅しつけて、そこから自国に優位に働くような交渉ができると画策していたと思われています。
しかしながら、このような強引な課税強化に対して、他国は逆に何も譲歩することができるものはなく、課税強化されたらこちらも報復課税をするしかないように追い込まれてしまいました。
そして、FX市場でも2月3日には、カナダとメキシコへの25%への課税を4日から始めると報じられると、カナダドルは対ドルで2003年4月以来のドル高・カナダドル安を更新しました。
(メキシコペソは2022年3月以来のペソ安)
米国という世界一位の経済大国の上下(北と南)に位置しているカナダとメキシコにとって、米国がの追加関税は経済的にマイナス要因になります。
よって両国の通貨が売られるのは避けて通れないことでしょう。
ただ、この通商摩擦が、米国の一人勝ちにはならないのは誰もが思っていることです。
米国もようやくインフレの勢いが弱まってきている中で、追加関税は再びインフレ懸念が再燃します。
そして株式市場も大幅安になるでしょう。
いかにトランプ米大統領が強気になったとしても、米国にとってもカナダ・メキシコ抜きの経済は相当厳しいものになります。
例えば、米国は両国からどれだけエネルギーを頼っているでしょうか?
原油の輸入の61%からはカナダ、10%はメキシコから米国は輸入しています。
米国が原油の輸入だけ関税を引き上げない場合でも、両国は今後米国に対しての輸出減少策を取る可能性も否定できません。
これまでWINWINだったことも、自国優位に余りにも傾かせようとしているトランプ米大統領が、自らの政策が逆にドツボにはまる可能性も実は非常に大きい状況です。
これらの、理由もあってか米国はカナダとメキシコへの関税引き上げは延期することになりました。
関税引き上げが脅しだけ?フェンタニルへの逃げ道
カナダとメキシコへの関税引き上げの理由の一つが、合成麻薬「フェンタニル」の米国流入を阻止するためとの理由があります。
ただ、これを聞いて誰もが不思議に思ったのは、フェンタニルのうち、メキシコ国境での押収は約96・6%を占めたのに対し、カナダ国境の押収分は約0・2%しかないことです。
それなのにフェンタニルを交渉の材料に出すことは、カナダもメキシコに「フェンタニル対策しました」という逃げ道を与え、トランプ大統領からしても、通商摩擦の交渉が無理だった場合でも、自分が強気の交渉をしたのでフェンタニルの輸入を抑え込めたという手柄を見せつける道を残しているからとのうわさもあります。
カナダとメキシコへの追加関税は簡単そうに見えて、自分の首も絞めることで避けたいのではないかという意見もあるということです。
3月からスタートするという追加関税ですが、すでにカナダやメキシコ国民の嫌米ムードは高まっています。
カナダで行われるNBAやNHLでの試合では、米国の国歌斉唱でもブーイングがおきるほどです。
今後の3カ国間の通商摩擦はどのようなかたちになるかは分かりません。
ただ、米国が中国に追加課税することと比較すると、カナダやメキシコへの追加課税は大きなリスクがあります。
本当に追加課税を決定し、始まるまでは、トランプ大統領の脅しだけではカナダドルやメキシコペソを売り込むと、急にトランプ大統領が両国と合意をしたと発表し、反転するリスクもあります。
これらのリスクなどを考えないで取引をやってはいけないでしょう。