やってはいけないこれだけの理由

【やってはいけないこれだけの理由】第13回「日銀介入に備える…その2」

前回、やってはいけないこれだけの理由】第12回「日銀介入に備える…その1」で、

日銀とFXディーラーの関係や、介入の法則を少しだけ記載しましたが

ついに9月22日には1998年6月以来となるドル売り・円買いの市場介入を実施をすることになりました。


今回の介入は、法則で記載した通りに、最初は「東京市場」「邦銀(メガバンク)」で行っています。

まだまだ、介入について備えるために、2回目を記載します。

今後の動きを備えることで少しでもFXで儲けることが出来れば良いのですが・・・。


オオカミ少年の論理


イソップ物語の「オオカミ少年」は、羊飼いの少年が「狼がきた」と嘘をつき、それを繰り返し続けていると本当に来た時に誰も信じないという話です。

為替介入の口先介入も同様に、「必要なら介入するぞ」などとの要人発言で、最初は市場が反応するものの、だんだんと慣れて誰もそれを信用しなくなります。

そして、口先だけだと思っていたら、本物の介入であり、先週は狼という市場に食べられてしまった市場参加者も多くいたことでしょう。



最初の介入は効果絶大


22日の介入はサプライズ効果もあり、ドルが数円単位で動きました。

このような状況になった場合は、数週間程度ですが市場参加者は中銀に抵抗をしない姿勢を取らざる終えなくなります。


例えば、「介入があろうが無かろうがドルは上昇すると思っている(ドルロング)」とします。

しかし、介入が自行に入るとあまりにも大規模のドル売りを日銀からくらってしまうために、ドルロングを吐き出してしまいます。

自分の持てる限度額が50本(1本=100万ドル)だったディーラーが1000本単位のドル売りを仕掛けられると、50本では飲み込まれてしまいます。


更に、介入の場合は、介入後に日銀に報告する事務作業があり、日銀にどのレートで何本売ったのかなどを付け合せる作業もあります。

自分のポジションなど構っていられません。



介入第2弾は?


上述したように介入の法則で、最初は「東京市場」「邦銀(メガバンク)」を通して介入を行うと記載しました。

では、第2弾はどうなるのでしょうか?


個人的にはもう数回は東京市場で介入を行う可能性が高いのではないかと予想します。

理由としては、1つ目は欧米勢に「自分たちがドル円をロングにしても、東京市場で介入で押し下げられるから意味がない」と思わせる効果があるからです。


そして2つ目は本邦投資家や実需のためでもあります。

経団連の十倉会長は今回の介入に対して「意義がある」と評価しましたが、

ドル高・円安に苦しんでいる本邦企業に介入によりドルが下がっている時に買うチャンスを与える意味もあるのではないかと思います。


次のサプライズは?


先週介入を行った翌23日は秋分の日で東京市場は祝日休場でした。

しかし、これまでの経験では祝日前日に日銀から電話があり、「明日の出勤体制は?」との質問が来ます。

そのような場合は、祝日は休みの予定だったのにもかかわらず、「明日も出勤いたします」と応えることになり、祝日が飛んでしまいます。

ディーラーは介入に備えて出勤しなくてはならないのです。


また、祝日ではない日も「今日は何時までいらっしゃいますか?」との質問も来ます。

夜は飲みに行く予定があった場合は即キャンセルし、「本日当行は24時間体制でやっています」と応えることになる時もあります。


要するに、最初は東京時間だけの介入から、サプライズを狙い欧米時間でも介入を仕掛けてくることもあります。

日本が祝日のためアジア勢は日銀の介入はないと思い、ドルを買っていたが急に介入が入りサプライズ攻撃を受ける可能性もあります。

同様に東京市場が引けたことで油断をしている欧米勢も、日本時間の夜や、かなり遅い時間に攻撃を受けることがあります。


このようなサプライズがサプライズでないように防ぐ(損失を限定させる)ことは、FX取引で非常に重要になります。


日銀が思った以上に早く介入が入ってしまったことで、今回書こうとしたことの半分も書けなかったので

介入方法やその効果等はまた次回に・・・。





この連載の一覧
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」
第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
第40回「金融危機はまだ去っていない、最良のCEOの言葉を無視してはやってはいけない」
第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
第33回「政治家の発言を吟味して取引しないといけない」
第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
第31回「新たに注目される指標を無視してトレードをやってはいけない」
第30回「次の日銀総裁の意向を考えないで、やってはいけない」
第29回「他の市場の動きを無視して、やってはいけない」
第28回「中銀の独立性がない国の通貨はやって(買って)はいけない?」
第27回「昨年は何の通貨をやってはいけなかったか?」
第26回「提供されているヒントを無視することを、やってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第25回「重要イベント前にポジションを取ってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第24回「12月にトレードをやってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第23回「スケジュールを見ないで取引をやってはいけない…先週なぜ大きく動いたか」
【やってはいけないこれだけの理由】第22回「金利上昇=通貨買いをやってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第21回「FOMC…乗り遅れない!今年のメンバーはもう忘れよう」
【やってはいけないこれだけの理由】第20回「ファンダメンタルズには逆らうな」
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【やってはいけないこれだけの理由】第17回「市場との対話、今回は大失敗?」
【やってはいけないこれだけの理由】第16回「アジア時間の欧州通貨の動きを捨てる」
【やってはいけないこれだけの理由】第15回「介入に備える…その4、中銀は負けが多い」
【やってはいけないこれだけの理由】第14回「日銀介入に備える…その3」
【やってはいけないこれだけの理由】第13回「日銀介入に備える…その2」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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