石破降ろしが始まった
石破内閣の支持率は
朝日新聞3月15・16日・・・支持26%、不支持59%
読売新聞3月14~16日・・・支持31%、不支持58%
毎日新聞3月15・16日・・・支持23%、不支持64%
となっています。
与党の中の野党と呼ばれていた石破首相ですが、ふたを開けてみるとこれまで通りの自民党総裁と全く変わりませんでした。
まともな経済対策もなく、食品インフレを中心に国民生活が疲弊しています。
それにもかかわらず、3月3日に自民党の新人議員との会食で、1人10万円の商品券を手渡していたことが判明しました。
15人の新人議員の事務所を訪れて「お土産代わり」として手渡した、と報じられています。
ただでさえ支持率低下するなかで、この10万円の手渡しが判明すると、さらに支持率は下がったわけです。
そもそも、自民党内でこっそりと行われたことが、報道(最初に報道したのが朝日新聞)に漏れたのは、もらった議員からのリークとされています。
新人議員が報道にリークをするのは、当然ながら派閥のトップの了承を得ていることは想像でき、自民党内の石破降ろしに拍車がかかっているといえます。
参議院選挙はいつ?
石破降ろしがはじまったとはいえ、自民党内も首相の首のすげ替えを通常であれば急ぐ必要はありません。
ただ、国民目線に立つ政策を実行することが少ない中で、唯一国民目線を重要視するのは選挙が近づいているからです。
国民の生活よりも、政治家にとっては重要なのは選挙に勝つことのみです。
そして、その選挙、参議院選挙が迫っていることで、石破降ろしが始まりました。
では、その選挙はいつになるでしょうか?
現在の参議院議員の任期満了日が7月28日で、公職選挙法32条1項で議員の任期が終わる日の前30日以内に行うとしています。
要するに6月28日から7月27日までの間です。
ただし、通常国会の日程などもあることで、現時点では7月3日公示、20日投開票との予想になっています。
7月20日は3連休の中日になることで、一部では投票率を下げ、組織票に強い公明党がその日になるのを主導しているとのうわさも出ています。(公明党は否定しています)
いずれにしろ、7月までに選挙が行われるのは確実ですが、このままでは連立与党は大幅な議席数減少は間違いなく、自民党からしても首のすげ替えがなければ惨敗するという危機感を持っているようです。
再び始まった利上げ・利下げ論争
上述のような石破内閣の支持率低下をみて、3月17日の金融市場でまず反応したのが債券市場でした。
石破首相が降ろされた場合に、一番有力となる首相候補は高市早苗氏です。
昨年9月27日の自民党総裁選では議員票と党員票ともに石破氏よりも獲得票が多かったことで、有力とされるのはもっともなことです。
高市氏は日銀の金融政策運営を巡り「金利を今、上げるのはあほやと思う」発言していたこともあり、高市首相となった場合は、日銀はこれまでのように利上げを行うのが難しくなるとの連想になりました。
よって、本邦長期金利が低下したわけです。そして、それに連れて円安にFXも傾きました。
まだ4カ月近くあることで、石破降ろしが成功するのか、高市氏が本当に首相になれるのかは分かりませんが、前回のように一波乱起きる可能性もあるでしょう。
(詳細は第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」を参照してください)
何回も記載するが日銀には独立性はない!
今年就任したトランプ米大統領の関税政策でインフレが懸念されていることで、米連邦準備理事会(FRB)の今後の政策にも影響を与えています。
ただ、バイデン氏からトランプ氏に代わっても、中央銀行が自分たちの方針を変えることはありません。
あくまでも中央銀行は景気、経済動向をみて判断しています。
しかしながら、日銀は政府の意向にほぼ逆らえない状況です。
第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」に記載していますが
「日本銀行法では、金融政策が『政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない』(第4条)とされています。」
先週18日に赤沢経済再生相が「日銀には政府と緊密に連携し、2%目標の持続的実現を目指し、引き続き適切な政策運営を期待している」と発言しています。
日銀金融政策決定会合が始まった同日に、このようなことを言うこと自体が圧力なわけです。
しかも、赤沢氏は財務副大臣のときには日銀金融政策決定会合に参加もしているわけで、政府からのメッセージを伝えたと思われても当然でしょう。
参議院選挙前に石破降ろしにより、自民党総裁が変わった場合は、誰が総裁になるかで日銀の金融政策が変わります。
よって、本邦の債券市場だけではなく、円相場への影響は非常に大きくなるわけです。
今後の日銀金融政策決定会合は4月30-5月1日、6月16-17日、そして参議院選挙後の7月30-31日に行われます。
経済指標よりも、今の日銀を見ていると、その時の首相が誰になるかがFXを動意づけることになります。