「(介入への)スタンバイ状態」とは?
10月31日に大幅に円安が進み(151.72円まで)、翌11月1日に登庁時の取材に
神田財務官は「(為替介入について)スタンバイです」と応えました。
遡ること昨年9月22日にも神田財務官は「適切な対応は、ずっとスタンバイの状況」
と発言しています。
そして、同日に第1弾の円買い介入が行われました。
このような過程があったことで、10月も「スタンバイ」との発言を聞いた市場参加者は
これは介入が行われるのだな、と思ったのは無理もありません。
実際は介入が行われた形跡はなく、その後の米連邦公開市場委員会(FOMC)で
金利引き上げの打ち止め観測が出たことで、円買いというよりもドル売りでドル円の上値が抑えられました。
為替介入はサプライズがあった方が効果があることで、具体的には介入については言わないものの
金融当局者の発言は非常に重要で、発言がこれまで違うときは注意深く見なければなりません。
円安のメリット?
円安の流れはその後も続き、11月13日には151.91円まで円売りが進みました。
昨年1990年以来となる151.95円まで僅か数銭手前まで上昇したことで、介入警戒感はさらに高まりました。
しかし、その翌日14日に鈴木財務相の発言は「おや?」という感じでした。
財務相は為替について万全の対応を行うと発言しつつも、
「円安のマイナス面を緩和、プラス面を最大化が重要」「円安はプラスとマイナス双方に様々な影響がある」
と述べています。
多くの輸出企業がすでに円安局面で為替予約を行っていることで、
現行水準では円安のメリットよりもデメリットの方が大きいにもかかわらず
円安の負の側面から目を逸らそうとする発言は、非常に不思議なものでした。
もっとも、現政権は18カ月も実質賃金がマイナスで推移しているにもかかわらず
実質消費支出も7カ月連続でマイナスとなっているにもかかわらず
経済対策も額面だけは大きく見せても、効果が感じられるものは感じられず、支持率も凋落するなど
国民目線に立っていない状況なので、円安のプラス面などといまだに言っているのでしょう。
ただし、上述のように不人気な現政権の中でも重要なポストの財務相が
今更円安メリットと発言するのは、ひょとして海外からの圧力で実弾介入を積極的に行えことを
消極的に伝えているのではとの見方をする人も出てきています。
この2週間でこのように重要な発言が出ていますが、今後も要人の発言次第で
「これは介入をやらない(やれない)」となるか「すぐに介入が行われる可能性が高まった」と
判断できるかの内容が伝わるかもしれません。
再び円安に大きく市場が傾いた場合は、更に発言を深く読み解かないと
介入期待相場はやってはいけないことになりそうです。