やってはいけないこれだけの理由

第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」

おそらく、日本で一番有名な通訳の方が「ギャンブル依存症」ということが明らかになり

そして、日本で最も注目されている人物を裏切るかたちになりました。


とても悲しい出来事ですが、ギャンブル依存症の人は身近にもいると思います。

乳児や幼児を車に置き去りにし、パチンコやパチスロに没頭し悲劇的な結果となるこも

よく報じられています。


厚生労働科学班による調査によると、日本人のギャンブル依存率 は2013年の調査ですが

成人全体で 4.8%(男性 8.8%, 女性 1.8%)と、相当多いようです。


FXの損失を隠すギャンブル依存症たち


FXも上がるか・下がるかを賭ける「ギャンブル」といっても過言ではない取引です。

自分が働いてきた金融機関でも、少しの損が、大損となり、取り返そうとして

さらに損を積み重ねる、そしてその損を隠すという人を見てきました。

そのような人たちは同僚、取引相手等で数人という単位ではなく、かなり多くいました。


そのような行為を行ったのにもかかわらず、ほかの金融機関に移り、またしても同様なことを行い

いまでは、FXの指南役としてFXサイトに登壇している人までいる次第です。


なぜ繰り返してしまうかは、厚労省のホームページには依存症は

「脳内に報酬(ごほうび)を求める回路ができあがり、コントロール喪失に陥ってしまい

ほどほどにできなくなる脳の病気と言われています」と記載されています。


だから、「意志や気持ちで解決しようとしてもうまくいきませんし、

何度やめようと決意しても条件が揃うと

またやってしまうということを繰り返します」と記載されています。


そもそも、金融機関(私の場合は外資系銀行)では、ロス管理は基本的には徹底されていました。

一定の損失を超えたら打ち止めとなり、取引がその日、もしくはその週か、その月は取引が制限されます。

このようなことを「ペナルティボックスに入り」と呼ばれます。

アイスホッケーでペナルティを受けると数分間出場が出来なくなり、ペナルティボックスに入ることと同じです。


ただ、ペナルティボックスに入ること自体は、ある面正直に自分の損失を申請していることになり

けっして不正をしているわけではありません。ギャンブル依存症とは言えないと思います。


また、外資系銀行の金融機関の多くは、最低1週間(中には2週間)以上の連続休暇を取得する義務がある銀行が多いです。

それは不正が行われた場合、長期休暇中にその不正行為が判明できるようにするためです。


問題なのは、損失を隠し続ける人たちです。

上述のように通常は金融機関はロス管理がされています。

しかし、溜まった損失を隠すために、様々な手口で損失が表面化することを防ごうとします。


私が見てきた行為では、友人の会社と架空取引を行ったかたちをとり

あたかも損失をしていないような取引を入力して、ごまかしていました。

ギャンブル依存症の人が嘘をついてしまうというのは、FXの世界でも同じです。


しかし、溜まった損失が、その架空取引の決済日までに取り戻すことが出来ず

結果として、不正は露見し、解雇されてしまいます。


FX取引でギャンブル依存症になる人たちの例は?


FXの世界でのギャンブル依存症の人たちには共通点がいくつかあります。


1つ目は、あまりにもFX(ギャンブル)が好きすぎる人たちです。

仕事だからFXの動きを24時間見るのは致し方ありませんが

寝ても覚めてもFXの些細な動きが気になる人は依存症と言ってよいでしょう。

そういう人は、気持ちをリフレッシュできないことで、一度はまると泥沼から抜け出せなくなります。



2つ目は、プライドが高い人たちです。

自分は正しい、自分は負けない、負けたくないという気持ち強く、

どのような取引も勝とうとします。


自分が持っているポジションがアゲインスト(逆方向)に動くと

「なんだよ!このマーケットは、馬鹿じゃないか!」などと呟き、

自分より市場がおかしいと勝手に思い込みます。

そのような人たちは、ロスカットは遅れまくり、損失が積もっていきます。


ギャンブル依存症はどのような取引をするか?


では、FXでギャンブル依存症になった人たちは、どのような取引スタイルになるのでしょうか?

一番多くいるパターンは、ポジションの巨大化です。


例えば、通常は10本(1000万ドル)で取引していた人が、損失を計上してしまいます。

損失を取り戻すために、倍の20本(2000万ドル)で取引を始めます。

持っている額面が倍になったわけですので、これまでの半分の値動きで損失を取り戻してチャラにできます。

それでも負けが込んでしまうと、更にどんどん取引の額面が上がっていき、ドツボにはまります。



もう一つの例は、永遠にナンピンをすることです。

例えばドルロングが正しい、と信じている人が151円でドルを買います。ドルが下がると150円で買い増しをします。

その繰り返しを続け、気が付くと140円までドルが下がり、ナンピンを続けた結果

持っている額面は巨大になっているパターンです。


現金・生活が削られている認識を持たないと絶対にダメ!


FXは上がるか下がるかの丁半博打に近い面があります。負けた時、なぜ負けたのかを反省することは必要です。

ただし、負けたことが悔しくて、取り戻そうとする人は冷静な判断にかけて

ギャンブル依存症になるパターンだと思います。


また、証拠金内だけで取引を行い、その自分が当初決めた以上に証拠金の積み増しを絶対にしてはいけないと思います。

銀行のディーラーが銀行のお金で取引をすることや、クレジットカードでの取引などは、

現金などと違いお金が出費されている、という感覚を感じにくいところがあります。


決済が後になることで、現時点では生活も変わらないですし、現金も減ってはいないでしょう。

しかし、損失を積み重ねた銀行のディーラーは解雇され生活が出来なくなります。

これは、クレジットカード決済で多額の金額を消費したり、証拠金を積み増しすぎた人たちも

決済がくるまで感覚が鈍っていることと同様です。


もし、一度ディールで負けた場合は、少し反省し、忘れて、そこから仕切り直して相場をゆっくり見る

余裕がない場合はギャンブル依存症になっている可能性もあります。

このような人は依存症なので、絶対にFXをやってはいけないでしょう。





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第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」
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第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
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第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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