やってはいけないこれだけの理由

第26回「提供されているヒントを無視することを、やってはいけない」

先週何が起こったか?


先週末12月17日の日経新聞に

「政府、日銀との共同声明見直し論」との報道が流れました。

2%の物価上昇目標の達成時期や範囲をより柔軟にしたり、表現の一部を修正したり

との内容になっています。


この報道を受けて、12月19日月曜は早朝こそ136円台から135円後半まで円高が進みました。

しかし、市場はこの記事を無視するかのようにドル買い・円売りを仕掛け

137円半ばまでドル円は上昇しました。


市場は常に先取りをすることが重要なのにもかかわらず

来春の話を今から気にしてはいけない、など楽観論も流れていました。

ある面、平和ボケ、年末・クリスマス前のボケ状態でした。


そして、事は起こりました・・・20日の日銀は金融政策決定会合で

長短金利操作の運用に関し、長期金利の許容変動幅を従来の

「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に拡大すると発表しました。


ドル円は当日の高値から7円弱の円買い・ドル安が進行となりました。


新聞に書かせられることがある


以前、こちらのコラム第7回に「新聞は読むな?」に

日本の新聞は石橋を叩いて渡る傾向があり、新聞に出たらトレンド終了の可能性と記載しました。

また、同時に「政府なり各省庁の誰かの意向で書かせているだろうと記事を稀に見つけることが出来る」

とも記載しました。


同コラムには「円安抑制のような記事が日経新聞に記載する回数が増えた場合などは、

政治家や財務省の意向が働いているかもしれません。」

「これまでも、不自然な記事を見かけ、そこから潮の流れが変わったことも過去にあります。」とも記載しました。


まさに17日の週末に掲載されていた内容はこれに当てはまります。

しかも、日銀というよりも政府・財務省の圧力を感じる内容です。


しかし、市場参加者はこれまでも黒田日銀総裁の頑なな姿勢から、新聞の内容を無視してしまいました。

しかも、質が悪いのが松野官房長官が19日に

「(政府・日銀の共同声明改定報道について)そのような方針を固めた事実はない」と否定してしまったことです。


このような会見はグレーでやり過ごすこともできたものを、敢えてきっぱり否定してしまったことで

市場との対話という意味では大失敗になってしまいました。

一部では、「増税の公約をしていないのに、簡単に増税する岸田政権の言葉を信じるのが間違え」、との辛辣なコメントも聞こえます。



政府の圧力?日銀の独立性の問題も?


今回の日銀政策決定会合後に行われた、黒田日銀総裁の会見ですが

テレビ配信を見ても、どこか元気のないような姿とも見受けられました。


「金融引き締めではない」と述べても、実質は金利引き上げと捉えられる行動ですので、説得力がありません。

黒田日銀総裁は、本当は今回の決定に反対だったのではないかとさえ思ってしまいます。


黒田日銀総裁の任期満了が近いというのもあるのでしょうが、浮かない総裁の顔を見ていると

政府主導による利上げなのではないかとの声も出ています。

今回の件で日銀が政府との独立性についても疑問符がついたともいえそうです。


このような状況になったことで、今後はより新聞などの政府見解に目を光らせる必要がありそうです。

そして、新聞がヒントを出している記事を無視するのは、やってはいけないでしょう。


この連載の一覧
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」
第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
第40回「金融危機はまだ去っていない、最良のCEOの言葉を無視してはやってはいけない」
第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
第33回「政治家の発言を吟味して取引しないといけない」
第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
第31回「新たに注目される指標を無視してトレードをやってはいけない」
第30回「次の日銀総裁の意向を考えないで、やってはいけない」
第29回「他の市場の動きを無視して、やってはいけない」
第28回「中銀の独立性がない国の通貨はやって(買って)はいけない?」
第27回「昨年は何の通貨をやってはいけなかったか?」
第26回「提供されているヒントを無視することを、やってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第25回「重要イベント前にポジションを取ってはいけない」
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【やってはいけないこれだけの理由】第14回「日銀介入に備える…その3」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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