今回のやってはいけないは「スケジュールを見ないで取引をやってはいけない」です。
先週、為替市場は大きく動きましたが、スケジュールをみていないと分からない部分があります。
週間スケジュールや月間スケジュールを知る
為替ディーラーにとって、その週に何が予定されているかという週間スケジュールは必ずチェックします。
週の初めだけでなく、前の週にもだいたい翌週はこういう行事があるのかというのを知り
心の準備をしておきます。
また、より広範囲のスケジュールについては
経験を積むと大体いつ頃に大きなイベントがあるのかも頭の中に入れておきたいところです。
しかし、豪準備銀行(RBA)理事会は毎月第1火曜日などに行われるなど、
規則正しいもの以外は、詳細日までは覚えるのは難しいです。
米連邦公開市場委員会(FOMC)はいつ開催され、日銀政策決定会合はいつなのか?
すべて暗記は難しいので、年間の政策決定会合などはプリントアウトして目につくところに貼っておきます。
この作業はFXで儲けるためにとても重要なことです。
スケジュール発表前にポジションをどうするか
スケジュールを知らないで取引する人はよほどのビギナー以外は、あまりいないと思います。
経済指標や要人の講演で自分が持っているポジションが大きく儲かるか、損する可能性もあります。
まずは、指標発表前にポジションをクローズ(スクエアに)するのか
または、指標発表後に利食いと損切りはどこに置くのかも頭に入れて臨む必要があります。
おそらくここまでは、多くの方が準備をしているでしょう。
スケジュールのその先を見る
スケジュールに記載された経済指標や要人講演で動くことはもちろんですが、
スケジュールの日程で大きく動く可能性があることも念頭に入れておきたいところです。
先週の例を挙げてみます。
下記のスケジュールを知った時に、皆さんは、どう思い、どのような判断をするでしょうか?
「11月30日水曜日…パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演」
「12月13-14日(火曜から水曜日)…米連邦公開市場委員会(FOMC)」
では、ここで先週の動きを振り返ります。
先週の30日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演では
「早ければ12月にも利上げ幅を縮小する可能性がある」と発言しました。
この発言を受けて、米金利は急低下し
ドル円は発表前に付けた139.89円から、先週は133円台まで急落しています。
要人がこんなこと言ったから「動くのはの当り前じゃないか」と思われるでしょう。
しかし、通常以上に大きく動いたのにはスケジュール上の理由があります。
なぜ大きく動いたか
スケジュールを振り返ってみましょう。
上述したように12月13-14日にFOMCが開催されます。
ということは2週間前の土曜日の12月3日(パウエルFRB議長の講演3日後)からFRBはブラックアウト期間に入るわけです。
(ブラックアウト期間=中銀関係者が金融政策に関する発言を禁じる期間)
残りの間のスケジュールを見れば分かるように、他のFRB関係者がFRB議長の発言を翻すほどの暇がほぼありません。
経済指標も遅行指標の雇用統計は発表されるものの、
経済指標が発表されてもFRB要人がその評価を発言できるチャンスがないわけです。
よって、パウエル発言を否定する機会が、FOMCが終わるまでほぼ無いことで
市場はこの流れが少なくともFOMCまで(2週間弱も!)、
もしくはその直前に発表される11月CPIまでは崩せなくなったのです。
このようにスケジュールを知れば、なぜ通常以上に大きな動きになったのかを理解できると思います。
「スケジュールを知らないでトレードをしてはいけない」ということは、このような理由から来ています。