米連邦公開市場委員会(FOMC)では、四半期に一度金利見通しドットプロット
(日本では「ドットチャート」と多くは記載されています)が公表されます。
毎年3、6、9、12月に公表され、FRBのホームページに詳細を見ることが出来ます。
3月のFOMCで起きた差異
3月21-22日に行われたFOMCでは25ベーシスポイントの利上げにとどめただけではなく
利上げが近くいったん停止される可能性があることが示唆され、ドルが弱含みました。
しかしながら、公表されたドットプロットは昨年末とあまりずれることが無く
利下げの方向に向かっているというドットの並びにはなっていません。
これだけを見れば、FRBは今後も利上げを継続し、利下げはまだまだ先になるのだろう
と、読み取れるかもしれません。
ところが、今回のFOMC後のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが
FF金利先物の動向に基づき算出する(通称フェドウォッチ)では
今年の7月近辺から利下げに転じる可能性となり
11月、12月にかけては利下げ幅拡大するという算出になっています。
では、なぜドットプロットとフェドウォッチに差異が出てきているのでしょうか?
金融危機についてが鍵に
通常であれば、ドットプロットに変化が生じないのであれば
フェドウォッチが年後半から利下げに傾くことはほぼ無いでしょう。
しかし、今回の問題点は「金融危機」が絡んでいるからです。
時系列で振り返ると
シリコンバレー銀行が破綻したのが3月10日、シグネチャー銀行が同月12日
同月19日、クレディ・スイスがUBSによる救済買収決定。
FOMCが同月21-22日です。
金融危機が始まったばかりとはいえ
FRBもこの負の連鎖が続くリスクがあることは認識しているでしょう。
しかし、ドットプロットが変えなかったのはなぜでしょう?
それは・・・FRBと市場では立場の違いがあるからかもしれません。
FRBのメンバーは今後の経済予測に基づきドットプロットを予測していますが
立場上「金融危機がさらに深刻化し、年後半から利下げに入ります」と予測を
絶対に立てられないでしょう。
逆に、そのような予測を立ててしまった場合は、更に金融機関の資金繰りが悪化する可能性があります。
そのような炎上することはFRBはできないし
やってはいけないのでドットプロットは変更していないと思われます。
今後は金融危機がどの程度進むかにより、FRBの金融政策は変わるでしょうが
現時点ではフェドウォッチが市場予想に沿った動きが本流と言えそうです。