やってはいけないこれだけの理由

第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」

先週の動きを振り返る


ゴールデンウィーク中には、米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われ

25ベーシスポイントの利上げを実施しました。


しかし、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が

利上げ停止時期に関して「近づいている感触。すぐそこの可能性も」と述べたこともあり

米金利が低下し、ドルが売られています。


日銀が低金利政策を継続することを発表した28日以来、円安が急伸しましたが

ドル円は再び水準的に1週間弱ですべてを戻した状況です。


重要指標などの着眼点への変化も


今回のパウエルFRB議長が、今後の利上げ停止について言及したのには複数理由があります。


一つは、先月27日に発表された経済指標(1-3月期米GDP速報値、1-3月期米個人消費=PCE)では

GDPが予想を下回った反面、PCEのコア指数は予想比を上振れしました。

インフレ高進の中での、経済停滞の可能性とも捉えられます。


そして、もう一つは最大の不確定要素として金融システム不安が、利上げ停止の可能性と言えます。


パウエルFRB議長が、引き続き「今後はデータ次第」と述べていますが

今後のデータを精査するものが、インフレ、雇用などのデータだけを見ても分からないかもしれません。

特に、雇用統計などは遅行指標でもあるので、今後は重要度が下がる可能性もあるでしょう。


それよりも、注視てみなくてはならないのは、金融システムがどのように動いているかを知ることで

これらの指標等を先取りして見ていかなくてはならなくなりそうです。要は着眼点の変化が必要になりそうです。



すでに金融機関は与信厳格化に・・・タイムラグに気を付ける


3月の金融危機後に、ダラス連銀は金融機関が貸し渋りなどの保守的傾向が出てきていることをデータで指摘。

そして、欧州中央銀行(ECB)も金融機関の与信基準が1-3月期に予想以上に厳格化したと公表しています。

このような、結果が実体経済の雇用情勢、消費者物価指数(CPI)などの指標に反映されるのにはタイムラグがあります。


例えば、中小企業の経営者が金融機関から融資を受けているとします。

そして、その金融機関の融資が、金融危機により厳格化され、これまでの融資額から大幅に減額された場合は、どうなるでしょうか?


まずは、経営者は現時点で出来るだけのやり繰りをするでしょうが、徐々に融資が無いことで行き詰まり始めます。

新たな工場の建設など、設備投資も控えることになるでしょう。

人員も、解雇まではまだ行わないにしても、新たな採用は控えることになると思われます。


このような、負の連鎖が起きる場合は、何か月か時間を要します。

要するに、データで結果が出るのにはタイムラグがあることで

これまでの1カ月前の経済指標を参考にしても、データとして古すぎると言えるでしょう。


今後の為替動向を読み解く中で、これまで注目されていた着眼点が変わる可能性もありそうです。

すでに、一歩一歩先を考えて、ポジションを持たないと、乗り遅れる可能性があることで

新たな着眼点を見ないでの取り引きは、やってはいけないことになりそうです。



この連載の一覧
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」
第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
第40回「金融危機はまだ去っていない、最良のCEOの言葉を無視してはやってはいけない」
第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
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第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
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【やってはいけないこれだけの理由】第25回「重要イベント前にポジションを取ってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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