やってはいけないこれだけの理由

第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」

これまでにも記載していますが、FXの初心者が始めて取引をするのであれば

まずはドル円を取引することをお勧めしています。


理由は2つありますが、1つ目は日本で生活している人にとって

日本の経済・政治情勢などを理解するのは他国よりも簡単で

円が買われるのか、売られるのかを判断しやすいでしょう。


2つ目は、ドル円はユーロドルに続いて流動性があることです。

流動性があるとは、取引されている量があるという意味ですので

売りたい・買いたいと思った場合はすぐに手が出しやすい状況です。


対ドルが取引の中心というわけではない


では、ドル円以外の通貨を取引する場合に注意することは何でしょうか?

それは、「対ドル以外の動きを見ないで、取引をやってはいけない」ということです。


もっとも、ユーロドルに関しては、上述のように一番流動性があることで

ユーロドル単体での取り引きをやっても大丈夫でしょう。

ただし、他の通貨は対ドルだけの動きを見ていてはいけません


その要因としては、欧州ではほぼ対ユーロでの取引が主になっているからです。

以前、第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」でも記載しましたが

ポンドの取り引きで多いのは、ポンド対ドルではなく、ポンド対ユーロです。


また、スイスフランもドル対スイスフランではなく、ユーロ対スイスフランです。

他にもノルウェークローネ、スウェーデンクローナまども対ドルではなく、対ユーロが取引の中心なのです。


余談ですが、ユーロという通貨が出来る前は、ドイツマルクが取引の中心で

マルク対(フランス)フレンチ、マルク対(オランダ)ギルダー、マルク対(スペイン)ペセタ

など対ドルではなく、対マルクが取引の主になっていました。


オセアニア通貨も対ドルだけではダメ!


欧州通貨の動きは対ユーロが中心になっているように、オセアニア通貨も対ドルだけを見ていては行けません。

オセアニアの2大大国の豪ドルとNZドルのクロスの動きを見ていないといけないわけです。


特に動意づくのは両国の経済指標が強弱に分かれた時です。

6月中旬ニュージーランドから1‐3月期の国内総生産(GDP)が発表され

豪州からは5月の雇用統計が発表されました。



結果はNZのGDPはマイナスとなり、テクニカルリセッション入り

豪州の雇用統計は失業率、新規雇用者、常勤雇用者すべて強い結果になりました。

この結果を受けて豪ドル/NZドルが急上昇を辿っています。


日本でFXをやっていると、ドル円が中心になるのは全くかまわないでしょう。

しかし、もしドル円以外の通貨を取引するのであれば、対ドル以外の動きにも目を通す必要があります。

もし、その余裕がないのであれば、その通貨を取引するには時期尚早で

取り引き自体をやってはいけないでしょう。



この連載の一覧
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第119回「円買いの流れを一瞬で止めた石破政権・・・今後の政局を知らないでやってはいけない」
第118回「想定為替レートを知らないでやってはいけない」
第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」
第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」
第114回「ディーラーは変わり身が早いのを知らないでやってはいけない」
第113回「FRBの2大責務…今は何を重要視しているかを知らないでやってはいけない」
第112回「バイアスがかかった考えをもってやってはいけない」
第111回「円相場を見るならアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第110回「7・8月の相場を振り返る・・・この反省を生かさないでやってはいけない」
第109回「日銀の政策決定会合の結果発表時間がなぜ定まらないのか」
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第103回「円安を本当に止める気があるのか・・・何が信用できるかを確かめないでやってはいけない」
第102回「クロス円をしっかり見ないでやってはいけない」
第101回「介入を過度に警戒してはいけない」
第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
第89回「カントリーリスク・・・混迷する世界情勢を知らないでやってはいけない?」
第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
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第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
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第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
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第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
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第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
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第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
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第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
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第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
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第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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