1月12日に読売新聞が「日銀、大規模緩和の副作用点検へ」という記事を掲載しました。
これを受けて12日の東京市場では132円台前半から131円後半まで、円高・ドル安が進みました。
その前の数日間が131円前半から132円後半で取引されていたことや
当日に米国から注目されたいた12月の消費者物価指数(CPI)の発表を控えていたことで
東京時間の為替市場の動きは思ったよりも静かな展開でした。
他の市場の動きを無視してしまった為替市場
しかし、為替市場は比較的落ち着いた動きだったのですが、
債券市場はかなり大きく動いていました。
10年債利回りは日銀が上限をコントロールしていることで、
12日は日銀の目標上限0.50%にはりついていましたが
超長期金利と言われる20年債利回りは大幅上昇になっています。
(翌日には10年債利回りは0.50%を超える場面もありました)
下記チャートが20年債の利回りチャートです。
1.32%近辺から1.40%への上昇がその日の動きで、急伸しているのが分かります。
2014年9月以来となる水準まで利回りは上がっています。
本来ならば円金利の急上昇に為替市場は反応するべきだったのですが
この何年にもわたり、日本の金利は動かないということに慣れてしまっていることで
債券市場の動きを見逃していた人が多くいました。
海外勢は先取りしていた
債券は債券だし、為替は為替だから関係ないという考えを持ってしまうかもしれませんが
今回のこの動きは債券の動きが為替にかなり連動していました。
と、いうのも財務省が毎週発表している対外対内証券投資で海外勢の本邦国債売りが
この15年くらいでは最大の売り越しになっているように、
海外勢は本邦金利上昇・円高を見込んでいたからです。
そして、12日には欧米市場では、米金利が低下したという理由もありますが
ドル大幅安の中で、特に対円ではドル安(円高)が大きく進みました。
せっかく、日本発(本邦金利上昇)が顕著だったのにもかかわらず、
東京市場での値動きは90銭弱しか動かなかったものが、一日を通すと3円以上の円高が進行しました。
多くの東京市場参加者がこのチャンスを逃してしまっています。
たとえ日銀が否定しても・・・
この動きに対して、日銀は18日の政策決定会合終了後に金融緩和の縮小を見送り
市場に金融緩和の継続を改めて表明しています。
しかしながら、12月の東京都区部のCPIが発表され前年比で4%増となり、40年ぶりの高水準を記録。
しかも、日本で暮らしている人からすると、肌感覚で上昇しているのが僅か4%とは感じず
もっと、上昇していると感じているでしょう。
今回は見送った金融緩和の縮小ですが、今後はどうなるかは未知数です。
しかも、金融緩和を積極的に仕掛けた黒田日銀総裁の任期も迫っています。
次回の日銀政策決定会合は3月まで行われませんが、
これまでのように為替は為替、債券は債券というようなことで他の市場を無視することは
絶対に「やってはいけないこと」で、3月に向けてはより本邦の債券市場にを目を通す必要があります。