11月10日に米国の10月消費者物価指数(CPI)が発表されました。
その結果が市場予想を大幅に下回るものだったことは、記憶に新しいと思います。
この結果発表後、米国のインフレがピークアウトするのではないかという期待もあり
米国の中長期金利が急低下、12月の利上げ予想も0.75%から0.50%予想が多数になり
為替市場も大幅なドル売りに傾きました。
このドル売りの流れはファンダメンタルズにのっとったものであることで
ファンダメンタルズに逆らってはいけないと
【やってはいけないこれだけの理由】第20回「ファンダメンタルズには逆らうな」に記載してきました。
金利上昇の基本は通貨買い、金利低下は通貨売り
インフレの高まりは金利上昇になり、金利上昇はその国の通貨買いというのが基本にあります。
逆に今回のCPIのように、インフレ圧力後退は、金利低下で通貨売りになります。
特に日本人の個人投資家は、日本が低金利なこともあり
高金利の外貨を買い、円を売るというキャリートレードが大好きです。
このキャリートレードが全盛期だったのが2005年前後からの数年だったと思いますが
いまでもスワップポイントでお小遣いが稼げることで、このトレードがもてはやされています。
余談ですが
当時は銀行でディーラーをやっていたのですが、個人投資家の円売り需要は非常に盛んでした。
また、その頃から日本の投資家のことを「ミス・ワタナベ」という俗称も生まれました。
金利上昇が通貨買いにならなくなってきた
米国に対してはいまだに金利上昇は通貨買いになっていますが、
コロナ後の金利上昇は2005年から続いたキャリートレードとは違ってきています。
例えば英国などは、インフレ高進による景気低迷、そしてリセッション懸念を高めています。
この半年弱から英国のインフレ指標への反応に変化が出てきています。
かつてはインフレが高まれば、英金利高になりポンド買いになりましたが
ここ最近は、今後の英国経済への懸念の高まりで徐々にポンド売りに転じています。
英国だけでなく、先週南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)
がおこなわれ、大幅利上げを行った高金利通貨と言われる南ア(ランド)なども
金利上昇はリセッション懸念を高め、ランドも上値が重くなりました。
上述のように米国に対しては、現時点では
インフレ高進=金利上昇=ドル買い(逆にインフレ抑制=金利低下=ドル売り)という公式が通用します。
また、これまで低金利継続だったスイスや日本に対しても通用します。
しかし、英国や南アなどのようにいつ市場の捉え方が変化するかは分かりません。
国によっての経済事情が異なることで
公式通りの取引は今は「やってはいけない」状況です。