やってはいけないこれだけの理由

【やってはいけないこれだけの理由】第7回「新聞は読むな?」

新聞は読む必要があるか?

 

私はいまだに日経新聞を電子版ではなく「紙」で読んでいます。紙で読んでいる理由は、ネットだと読んだ気になってしまうことが多いことと、他の記事に目移りしてしまうということですが、まぁ、本当の事を言うと古いタイプの人間だからでしょう。

 

新聞についてですが、某米系金融機関に転職した時、一番上のボスが周りに言っていたことは「新聞を会社で読むな!」ということです。いったいこれはどういう意味でしょうか?

 

「新聞を読むな」の理由は?


「新聞を会社で読むな」というボスの理由は、基本的に日本の新聞に出ていることは、ディーラーはすでに(出勤時に)知っていなくてはいけないということです。

特に海外で起きた重要な出来事(国際面)や金融面は、新聞という古い媒体では遅すぎるということです。インターネット前の時代と違い、新聞には締め切りがあり、その締め切り後にも世界は動いているわけですから、新聞ではなく「旧聞」となっています。

よって今更、日本の新聞を社内で読むということは、それすら知らないのか?ということになります。


新聞で確認を取る

 

私は通常は出勤前に電車などで日経新聞を読みますが、読む理由は2つあります。

1つ目は、新しい記事を発見することよりも、昨日までに起きたことで何か読み逃したものはないかの再確認です。

会社に着いたときに新聞の情報を知らなければ非常に恥ずかしく、「新聞にさえ、すでに載っているのにそれすら知らなかったのか?」ということが無いようにするためです。

 

また、新聞を読むもう1つの理由は、海外の同僚が気にしている記事があることです。

海外のディーラーたちも日本の新聞(特に日経の英語版)に目を通す人たちがいますが、彼らからは新鮮に感じる日本のネタが載っていたりします。

多くのものは日本人からしたら目新しくはないのですが、それらの内容を説明するためには目を通しておく必要があります。日本人からしたら、新鮮ではなくても海外勢からは新鮮に感じるということは、この記事で市場が動く可能性もあるということも知ることが出来ます。

 

新聞に出たらトレンド終了?

 

日本の新聞で残念なのはスクープ性のある記事が、ここ最近は極端に減少していることです。日本の大手新聞の一面がほぼ一緒だということが、話題(問題)になっていますが、これが日本人の新聞離れの一因でしょう。

 

日本の経済力が落ちていることや、日本銀行が長期にわたりゼロ金利政策を継続していることなどで、市場を動かすような材料に欠けていることの一つが、日本の経済新聞にもスクープが少ない要因かもしれません。

 

また、一部の市場参加者の間では日本の新聞は「石橋を叩いて渡る記事が多い」と言われています。例えば円安が始まってしばらく経過してから「円安」などと大きく強調したりすることもあり、「新聞に掲載されたので円安のトレンドは終わったな」と、穿った考えをもっている人もいます。

 

それでも新聞を読むべき理由は?

 

日本の新聞を批判しているような内容になっていますが、例外も実はあります。

それは、この記事はどう見ても政府なり各省庁の誰かの意向で書かせているだろうと記事を稀に見つけることが出来るからです。

 

先日亡くなった安倍元首相は「自民党総裁としての考え方は詳しく読売新聞に書いているので、熟読していただければいい」と発言し、政治家の意向を新聞に示して書かせていることを肯定しています。

同様なことが他新聞にも行われているかもしれません。

 

例えば、表立って円安を抑制できないが、円安抑制のような記事が日経新聞に記載する回数が増えた場合などは、政治家や財務省の意向が働いているかもしれません。そのような記事には要チェックとなります。これまでも、不自然な記事を見かけ、そこから潮の流れが変わったことも過去にあります。

 

まとめ

・日本の新聞の国際面は情報が古いことで、確認作業として読む

・日本人にとっては新しくないことでも、海外勢にとっては目新しい情報も

・為替に関しては日本の新聞は石橋を叩いて渡ることも多く、日本の新聞に掲載されたらトレンド終了になるときも

誰かの意向で書かれた記事には要チェック

この連載の一覧
第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」
第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」
第114回「ディーラーは変わり身が早いのを知らないでやってはいけない」
第113回「FRBの2大責務…今は何を重要視しているかを知らないでやってはいけない」
第112回「バイアスがかかった考えをもってやってはいけない」
第111回「円相場を見るならアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第110回「7・8月の相場を振り返る・・・この反省を生かさないでやってはいけない」
第109回「日銀の政策決定会合の結果発表時間がなぜ定まらないのか」
第108回「日銀のパラダイムシフト2…正副総裁が市場流動性を破壊」
第107回「日銀のパラダイムシフト…これまで通りの考えでやってはいけない」
第105回「スポーツ賭博もFXも②・・・嘘が常態化する人はやってはいけない」
第104回「自分が一番大事?・・・様々なことを勘繰らないでやってはいけない」
第103回「円安を本当に止める気があるのか・・・何が信用できるかを確かめないでやってはいけない」
第102回「クロス円をしっかり見ないでやってはいけない」
第101回「介入を過度に警戒してはいけない」
第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
第89回「カントリーリスク・・・混迷する世界情勢を知らないでやってはいけない?」
第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
第87回「それって何の講演?・・・講演内容を知らないでやってはいけない」
第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
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第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
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第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
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第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
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第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
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第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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