小さな流れを取る有効性
市場には大きな流れと小さな流れがあります。
私が初めて入ったディーリングルームで小さな流れをとるのが非常に上手なディーラーがいました。
特に上手だったのは、ギャップ(窓)埋めを取るディーラーでした。
細かくつけたノートには、どの通貨のどこに窓が開いているかということをメモし、その窓埋めを狙って数十銭(もしくは数十Pips)の利益を得るのが非常にうまい方がいました。
個人投資家の場合は、仕事もあれば、なかなか相場にそこまで張り付いていられないことで難しいでしょう。
このようなディーリングスタイルに徹するのは、特異な例ですが、一芸に秀でて、小さな流れを取る有効性があります。
しかし、危険なのは売り遅れで売れなかったことで買いから入る、逆に買い遅れで買えなかったことで売りから入る、という逆張りのポジションを持つなどの小さな流れを取ろうとすることです。
売れていない、買えていない悔しさによる逆張りは危険
4月2日にトランプ政権が相互関税を発表した以後はドル売りのセンチメントが多くの通貨ではっきりとした流れ(トレンド)として出ています。
意外にもスピードが速いことで「この水準ではドル円は売れない」「ユーロもここでは買いたくない」という声が多く聞こえました。
売り遅れ、買い遅れとなると、その悔しさから流れが速く、一度巻き戻しが入るからという期待で逆張りをする人がいます。
例えば、商品先物取引委員会(CFTC)いわゆるシカゴIMM筋が先週発表した主要な円先物のポジション状況では、円ロングが過去最大となりました。
このことで、IMMの円ロング(ドルショート)が多いから、これは一度ドル円は上がると、跳ね上がるという考えを持ち始めます。
ここで良くないことは、自分のポジションが大きく儲かるという「妄想」をしてしまうことです。
明らかに本人も流れとしてはドル円は下がるということを認識しているにもかかわらず、売れていなかった悔しさからまともな思考にならなくなってしまうのです。
このように、大きな流れがドル売りにもかかわらず、自分に都合の良い言い訳で小さな波(小さなトレンド)を取ろうとし、大きな波に乗れないままになるのが、一番やってはいけないことでしょう。