ハマスによるイスラエル侵攻
10月7日にパレスチナのイスラム組織ハマスが、イスラエルに対してロケット弾や
戦闘員の大規模攻撃を仕掛けたことから、市場関係者の多くはこの影響がどのように
金融・FX市場に影響を及ぼすのかが焦点になってきました。
個人的にもユダヤ教徒の家族と生活してきたこともあり、
ユダヤ教徒の友人・知人が多くいることで、今回のハマスの攻撃に対して様々なSNSなどで
発信する件数が多大になるなど、ことの大きさを痛感させられます。
また、外資系金融機関の多くはユダヤ資本であることだけでなく、
多くのユダヤ教徒の方が金融機関で働いていることもあり、
我々日本人よりも今回の件への注目度が高まっています。
しかし、我々日本から中東を眺めると、かなり立地的にも遠く、
ユダヤ・イスラムどちらの宗教にも偏る気持ちを持っていない人が多いことや、
これまでの数千年の歴史を理解するのが難しく
ニュースを追いかける程度になってしまうのが現状ではないでしょうか?
これまでと違うリスク回避の動き
とは、言うもののFXに手を出しているのであれば、
中東情勢が今後どのように動くかに目を通す必要があります。
イスラエル、パレスチナ並びにハマスなどのことを、
wikiなどで軽くでもよく調べておくのも今後役に立ちそうです。
ただし、今回のハマスの侵攻がこれまでのリスク回避の動きが
これまでと異なっていることにも警戒が必要でしょう。
通常、リスク回避であれば、安全(避難)通貨とされる、
スイスフラン(CHF)や円が買われます。
ハマス侵攻後のドルCHFは9日の週明け0.9101CHFから、20日には0.8921CHFまでフラン買いが進んでいます。
米金利は上昇しているにもかかわらず、フランは強含んでいるわけです。
また、欧州では対ドルよりも圧倒的に取引量が多いユーロCHFは
0.9601CHFから0.9417CHFまでフラン高が進みました。フランの年初来高値を更新しています。
一方、円は同じ安全(避難)通貨であるものの
9日のドル円は149.07円、そして20日には149.99円まで円安が進んでいます。
10日こそは一時148.17円まで円買いが進みましたが、それ以後は円安基調が続いています。
多くの市場関係者が、リスク回避で円高に傾く可能性もあると予想しましたが、そのようにならず
逆にこの円高予想で、ドル円を買いそびれたままの市場参加者もいます。
FXだけでなく、原油価格も侵攻後には大幅上昇したものの、上げ幅はさほど大きくありません。
産油国通貨のカナダドル(CAD)はこの2週間で対ドルでは小幅安になっています。
地上侵攻・及び戦火拡大には要注意
この後の中東情勢はどうなり、FXはどうなるのでしょうか?
先週はバイデン米大統領はじめ、欧米の指導者がイスラエルを訪問し、支持を表明しているものの
ガザ住民の被害抑制へイスラエルを説得しました。
イスラエル側は地上侵攻を辛うじて踏みとどまっていますが、今週はついに侵攻するするのではとの
一部報道も出ています。
この中東情勢が複雑化しているのは、パレスチナ側にロシアがつき、中国も同様の傾向にあります。
イスラエルが地上侵攻をした場合には、イランがパレスチナ支援に回ることや
ハマスだけでなく、ヒスボラがイスラエルに再攻撃をする可能性もあり
戦火が中東だけでなく、更に拡大する可能性もあるでしょう。
また、欧米諸国が中東にかかわっている間に、ロシアがウクライナ侵攻の勢いを強め
欧州情勢がさらに混乱するかもしれません。
その場合FXはどうなるのでしょうか?
本来ならば地政学的に中東や欧州よりも離れている円は買われるべきでしょうが
この数週間はそのような動きになっていません。
やはり、スイスフランが強含むのではないかとも思われます。
ただし、この記事を記載中にスイスは総選挙が行われています。
右翼政党が得票を伸ばすとされている予想があることで、この影響も考えフランも動くでしょう。
今回の中東情勢はこれまでのリスク回避とは違う動きになることが多く
始めは教科書通りのリスク回避のポジションを仕掛けて上手くいくような気もしますが
上述のように長続きしない可能性があることで、いつまでも通常のリスク回避のような
ポジションの持ち方はやってはいけないでしょう。