いよいよ本番開始・・・関税合戦
昨年からトランプ米大統領は自分のことを「関税男(Tariff Man)」と自称していました。
米国の製造業を復活させるために、各国に関税をかけまくることを明言していました。
何が大統領をそこまで突き進めさせるのか分からないほど、関税に異常な執念を燃やしています。
多くの経済学者が関税を上げることによる弊害を指摘するものの、聞く耳を持ちません。
第1次トランプ政権では通商問題だけではなく防衛問題などで優秀な人材がいても、自分の言うことを聞かない場合は除外し続けてきました。
その影響で、第2次トランプ政権はトランプ氏のいうことを聞く「イエスマン」で側近を固め、まさに裸の王様状態です。
就任後もカナダ、メキシコ、中国に関税の圧力をかけたのをきっかけに、先週12日には鉄鋼・アルミ関税を例外なく発動しました。
これまでの関税への動向
では、これまでのトランプ政権とその相手国の関税に関する動向をまとめてみます。
カッコ内は相手国の行動です。
1月20日・・・2025年4月1日までに調査を完了するよう各省庁に指示し、政権の貿易優先事項をまとめた覚書を発表
2月1日・・・2月4日付で、カナダ、メキシコ、中国に対する関税の大統領令を発表。また、中国からの輸入品に10%の関税を課すと発表
2月1日(カナダ)・・・オレンジジュース、ピーナッツバター、ワイン、蒸留酒、ビール、コーヒー、家電製品、アパレル、履物、オートバイ、化粧品、パルプ・紙を含む米国の輸出品を対象に、米国の関税の直後に課されたものを含め、2回にわたる関税を発表
2月3日(メキシコ)・・・南西国境に州兵を増派することに同意し、米国がメキシコへの武器輸送を削減することに合意
2月3日・・・上記のメキシコの動きに対して、米国の関税は1ヶ月間保留される
2月4日(カナダ)・・・トルドー首相は、カナダがフェンタニルの密売に対処するために北部国境の安全を確保する計画を実施すると発表
2月4日・・・上記のカナダの対応のため、関税を30日間保留すると発表
2月4日(中国)・・・米国の関税に対抗して、関税、輸出規制、信頼できない企業の指定を発表し、グーグルに対する新たな独占禁止法調査を予告。中国の関税は2月10日に発効する
2月5日・・・2月1日付の大統領令を改正し、中国からの低額貨物に対する免税措置を一時的に復活させる
2月10日・・・鉄鋼とアルミニウムに25%の輸入関税を課す布告と、それぞれ2025年3月12日に発布と発表
2月21日・・・中国のような敵対国からの海外直接投資に対する政権の方針に関する覚書を発表
2月21日・・・米国のデジタル企業、特に欧州連合(EU)による外国企業の扱いに懸念を示し、1974年通商法301条に基づき、オーストリア、フランス、イタリア、スペイン、トルコ、英国のデジタルサービス税(DSTs)を再調査し、カナダに対する正式なUSMCA紛争を検討するよう米国通商代表に要請
2月25日・・・1962 年通商拡大法第 232 条に基づき、銅の輸入がアメリカの国家安全保障を脅かすかどうかの調査を商務省に要請
3月1日・・・商務省に対し、1962年通商拡大法第232条に基づき、木材・製材の輸入がアメリカの国家安全保障に脅威を与えるかどうかの調査を行うよう要請する大統領令を発表。ホワイトハウスは別の大統領令で、内務省と農務省に対し、国内の木材生産を拡大するための新たな規制ガイダンスを発行するよう指示
3月4日・・・カナダの石油とエネルギー製品の輸入に10%、残りのカナダからの輸入品に25%の関税を課す2月1日の大統領令の30日間の一時停止終了を発表
3月4日(カナダ)・・・米国からの輸入品1550億カナダドル相当に25%の関税を課す報復措置を発表。即時発効するのは、オレンジジュース、ピーナッツバター、ワイン、蒸留酒、ビール、コーヒー、家電製品、アパレル、履物、オートバイ、化粧品、特定のパルプ・紙製品など300億カナダドル相当の商品に対する関税
3月4日・・・メキシコからの全輸入品に25%の関税を課す、2月1日の大統領令の30日間の一時停止終了を発表
3月4日・・・2月1日の大統領令を修正し、中国からの全輸入品に対する新たな関税を10%から20%に引き上げる大統領令を発表
3月4日(中国)・・・米国の追加関税に対し、大豆、鶏肉、小麦、トウモロコシ、綿製品、豚肉、牛肉、魚介類、果物、野菜、乳製品を含む米国の農産物輸出に新たな関税を3月10日に発動すると発表。また、米国の光ファイバー製品に対するアンチダンピング調査、米国企業10社の信頼できない企業リストへの追加、輸出規制に直面する企業15社、イルミナの遺伝子シーケンサーの輸入禁止も発表
3月6日・・・USMCAの原産地規則要件を満たすカナダとメキシコからの輸入を免除し、関税を10%に引き下げる
3月12日・・・米国が2月10日に発表した鉄鋼、アルミニウム、派生製品の輸入に対する25%の関税が発効。
3月12日(EU)・・・3月12日に発効した米国の関税に対する2部構成の報復措置を発表。1つは、2025年4月1日に発効するEUの「リバランシング」関税パッケージ(2018年と2020年のもの)を復元する。もうひとつは、最終的に約180億ユーロ相当の米国製品の輸出に対して追加的な対抗措置を課すもの
ここにはオンタリオ州との関税の争いを省くなど、すべてではありません。
ただ、これだけを見ても異常なまでの関税の対応と言えます。
4月上旬は重要イベント続く
おそらく、これを記載後も様々な動きがあると思われますが、4月の関税合戦スケジュールも大忙しになりそうです。
まずは、上述のように4月1日にEUが関税パッケージを復元し、軽く米国にジャブを打ち始めます。
そして2日には「多くの国で相互関税措置が発表される日」とトランプ氏は述べるなど、Xデイとされています。
自動車に関する関税も、この2日に発表されるとしています。
また、EUも4月12日までにほかの関税措置を完了するということを発表していますので、この日までに対抗措置発表るすることでしょう。
これらの関税次第で世界経済には大きな影響を与え、株式市場や為替市場も大きな影響を与えることになるでしょう。
ここ最近は経済指標の発表よりも、関税やウクライナ情勢などの政治相場になっています。
関税措置の日程は定まっているものもありますが、日程があやふやなものもありますので、これらの日程に気を付けてトレードをやらなければいけないでしょう。