まだいた1500人の馬鹿者
先週21日の日経新聞朝刊に、「国に無登録で外国為替証拠金(FX)取引を提供する業者のトラブルが絶えない」との記事が掲載されました。
すでに読まれた方もいるかと思いますが、要約するとプロの実際の取引をまねする「ミラートレード」などの手法で顧客を集め、そこから資金を集めていたようです。
今回摘発された会社の顧客は約1500人で顧客から集金した額は約16億円だったようです。
これは以前に第6回「FX詐欺でTKOされないために」にも書きましたが、プロが儲けられるのであれば、なぜ他人に儲けを分け与える必要があるのでしょうか?
為替のプロって誰?
おそらく、この1500人も16億円も氷山の一角でしょう。
筆者も仕事柄FXのサイトを見たり、ツイートを見たりすることから、このようなミラートレードの広告を幾度も見てきました。
実際にどのような手法でやっているかは、分かりませんし、分かる必要もありません。
また、このような業者は勧誘方法として「FX取引で素人が利益を出すのは難しい。ミラートレードで専門家に任せれば確実にもうかる」と勧誘していたと日経新聞には記載されています。
確かに素人がFXで利益を出すのは難しいでしょう。
ただし、専門家が儲けられると思ったら、それも大間違えです。
筆者は外資系金融機関で数十年のFX経験がありますし、個人投資家になった後も経験を積んでいることで、一応専門家とは思います。
しかし、金融機関で利益を出すことよりも、個人投資家で利益を出すほうが、余程難しいです。
更に言うと、様々なFXサイトに元ディーラーが出ていますが、なかには一度も金融機関ではポジションを持ったことのない人も多数います。
マネージメントをしていた人や、セールス担当で営業部門だった人もいます。
これらの人はFXについては知っていますが、FX売買の経験はあまりません。
また、ポジションをもって一線で活躍していた人でも、複数の金融機関で損失を隠して解雇された人も、堂々とFXサイトで指南役として出てきています。
要は、為替のプロと言われても様々な人がいるわけで、そのような人に「任せれば確実にもうかる」なんてありえないです。
専門家は損する確率を下げることが役目
上述のようにFXの世界に35年以上携わっていますので、専門家と思っています。
ただし、専門家ではありますが、儲けることができるなどと奢るつもりはありません。
専門家としてアドバイスできることがあるとすれば、経験則から、このような場合はこうなりやすいと言うことを伝えることです。
例えば競馬の専門家が、この競馬場はインコースが有利、重馬場だとこの馬が有利、調教でこの馬が良かったなどという予想のようなものです。
それを知ることで損をする確率が数パーセントでも減ることができると思っています。
FXの専門家などは、しょせんその程度のものと思ってよいでしょう。
FXのプロに任せれば儲かると思ってはやってはいけません。