今週29日は5年に1度の総選挙…与党過半数割れ濃厚
今週29日に南アの総選挙が行われます。
アパルトヘイト政策が終わり、1994年から5年ごとに総選挙は開催され、
今回で7回目の選挙になります。
そして、与党アフリカ民族会議(ANC)が今回初めて過半数を割り込むことが濃厚となっています。
その要因は複数あります。
・高失業率・・・先週発表された1-3月期失業率は32.9%となりました。
しかも若年層に至っては過半数が失業をしている状態です。
コロナの影響で悪化したことも事実ですが、コロナ後も依然よりも高い失業率となっています。
・根強い経済不平等・・・貧困層が多い南アですが、この何十年にわたっても改善されません。
失業率が高く、貧困層は稼ぎたくても稼げない社会構造になっています。
・汚職疑惑・・・ラマポーザ現南ア大統領の前のズマ政権は汚職まみれだったことで、
経済界出身のラマポーザ氏への期待は高かったのですが、ラマポーザ氏も汚職スキャンダルの噂がぬぐえないままです。
また、ほかの要職を務める一部政治家や、国営運営会社では遅くの話が後を絶ちません。
・脆弱なインフラ・・・電力はほぼ毎日停電を繰り返し、交通インフラも乱れたままです。
・高い犯罪率・・・1日平均130件の強姦と80件の殺人という高水準の暴力犯罪を昨年の10-12月期は記録しました。
このようなことで、ANCの支持率は下がる一方です。
野党も弱い南ア政局事情
とは言うものの、主要野党もあまり支持率が高まりません。
第一野党の民主同盟(DA)は白人の支持層が高く、黒人の支持率が低いままです。
野党第二党の経済自由戦士(EFF)はマルクス・レーニン主義の党と自己定義し
左翼的な政策が多いことで、国民の一部からは批判されています。
与党で不正がはびこり支持率が下がっているのに、野党の人気があまり上がらないのは
まるで日本と似たような状況です。
今回の選挙のポイント
総選挙の結果や詳細が判明するのは時間を要することになりそうですが、
ポイントとしてみるのはANCが45%以上の議席を獲得できるか否かになりそうです。
もし、45%の議席を獲得した場合には、インカタ自由党(IFP)と他の小規模政党と連立政権を組み
ANC主導のもとで新政権が樹立できることになります。
一方、45%を下回った場合には、マルクス・レーニン主義の党と自己定義している
急進左派政党のEFFとの連立を組むことが予想されます。
EFFと連立となった場合には、連立内閣では様々な議案が与党内で進まなくなり、
政治の停滞が予想されます。
なお、DAはこの連立を「終末シナリオ」と呼んでいます。
よって、まずは45%以上を獲得したらランドは買い、もしくは横ばい。
45%を下回った場合はランドは売られやすくなりそうです。