12月に入りマーケットが乱高下しています。
ドルショートにしていた人が「ストップロスが付いた後に、大きく下がって悔しい!」との嘆き声や
ポジションを作ったら「あっという間にストップロスが付いた」との声も聞こえます。
もちろん、全く正反対に「あっという間に大儲けできた」との声もありますが
得てして余裕がない場合はストップロスがついてしまう人たちが多いようです。
12月というのは特殊な事情があり、もし手堅くやりたい、余裕資金がない投資家の場合は
12月の取引は「やってはいけない」と思います。
なぜ12月は特別なのか?
米系ファンドや投資銀行などで11月に決済をむかえるところが多数ありますが
邦銀を除く、他の多くの銀行などは12月締めが中心となっています。
私が渡り歩いた金融機関はすべて12月決算だったのですが
12月になるとディーラーやそのマネージャーは通常通りとはいかなくなります。
11月までで基本的にその年の評価は決まってしまうともいえます。
12月相場になると、収益を上げているディーラーは、その収益を守るために取引は手控える傾向にあります。
逆に収益を思ったより上げていないディーラーに対して、そのディーラーのマネージャーは厳しい判断を下さなくてはなりません。
中には12月の頭、もしくは11月末に解雇を言い渡すこともあります。
1カ月前に通知する必要があることで、この時期になるとびくびくしていた人も多くいました。
また、解雇されない場合でも、損失を取り戻したいディーラーが
一か八かのギャンブルをすることをマネージャーは阻止する必要があります。
マネージャーからすればチームの収益見通しがある程度たっている状況で、
収益が増えることは許されても12月に急に収益が大幅減少となった場合は責任問題になります。
よって、マネージャーからすれば、出来るだけリスクを取らせないような方針を取ります。
このような状況もあり、12月の外資系金融機関は市場への参加を手控えていくことで流動性が無くなります。
12月は流すのみ
上述したように11月決算のファンドや、投資家たちを含め
12月に入るとクリスマス休暇に入る市場参加者が多数います。
特にアジア支店で働いている、欧米からの駐在ディーラーはクリスマスに合わせて本国に帰国します。
ほぼ現地採用のスタッフになるような金融機関も多数あります。
このように市場参加者が少なく、リスクを大きくとることを歓迎されない状況下では
ディーラーが顧客にヒットされたフローは基本的に右から左に流してしまいます。
たとえ儲からなくても、損失が大きくなければ許容範囲という受け止め方をしています。
なぜ動いたの?など理由は無し
12月に入ると、例年通常以上に相場が動きます。
銀行のディーラーに対しても「いまなんで動いたのですか?」と顧客が電話で聞いてきたりします。
いきなりドル円が30-40銭動いたら気になるのは理解できます。
理由があって動く時もありますが、12月相場で30-40銭動くのは通常の10銭の動きと思っても良いでしょう。
それほど流動性が無いのです。
要するに通常の3-4倍動くことを覚悟のうえで取引をしなくてはいけません。
そして、自分のポジションをマネージするときに、それくらい動くことが許容できないのであれば
「12月相場はやってはいけません」