第9回「FXだけで食べていく計画、その1…まずは金融機関と違うことを認識」で、金融機関と個人のでは情報の量と速報性に大きな違いがあることを記載しました。
それでは、仮にかなり裕福であり、月に数百万円をかけて複数の情報ベンダーと契約することを個人で行うべきかを考えてみましょう。
情報を理解する能力
仮に莫大のお金を保持し、月間数百万円単位のシステムを構築し、情報ベンダーも複数契約しても、問題は人員というソフト面の充実がない限り金融機関に追いつくのは難しいでしょう。
ディーリングルームには多くの精鋭部隊がいます。
語学力に長けている人は英語のニュースを瞬時に判断することが出来、経済に長けている人は経済データの特性をすぐに判断できます。
また、フェドウォッチャーという言葉があるように、米連邦準備理事会(FRB)の動きをつぶさに見ている専門家もいます。
結論から書きますと、そのような相手に追いつくことは至難の業です。
英語で出ているニュースを、瞬時に判断するのはかなりのベテランにならないと難しいでしょう。
いかに情報量が早く、豊富とはいえ、高額な情報ベンダーを個人が導入する必要性は個人的には無いと思います。
若干の遅れがあったとはいえ、国内の外国為替証拠金取引(FX)業者が配信しているニュースでも十分勝負することが可能だ思います。
経済指標への反応は金融機関も同じ
ニュースの速報性や豊富さで追いつけないのは理解していただいても、経済指標の発表の遅れを取り戻すために、情報ベンダーと契約したいという人もいるかと思います。しかし、経済指標の速報性もそれほど重要でしょうか?
よく、勘違いされている方が、「金融機関のディーラーは経済指標の発表を瞬時に知ることが出来ることで、個人のFX投資家よりも儲けるチャンスがある」ということを言っています。
そのようなことは1990-2000年代ならまだしも、この数十年くらいは眉唾の世界です。
たしかに、金融機関のディーラーは個人のFX投資家よりも早く指標結果を知ることができます。
指標発表後に、チャートでは一直線で上昇したり、下落したりしているのを見て、ディーラーは有利だなぁと思うかもしれません。
しかし、あのような一直線相場にディーラーは全く乗れていません。
経済指標で一直線まで買い上げる(売り下がる)ことをしているのは、人間の動き超えた世界=AIが動いているわけです。
簡単な例を挙げますと、「米雇用統計の非農業部門雇用者数の数値をいくら以上なら、即座にドル買いをする」等のマクロを組み、指標発表後ディーラーの肉眼で確認できるより早くAIが動いているわけです。
以前にも記載しましたが、映画「ハミングバード・プロジェクト」の原作本はマイケル・ルイス著「フラッシュ・ボーイズ10億分の1の男たち」に、その凄まじいまでの時間を削る作業工程を読むことができます。
むしろ、ストップロスを見ているインターバンクディーラーからしてみると、一直線で全く買えず(売れず)に損を押し付けられることが多々あります。
よって、経済指標の発表での遅れによる収益の差は、金融機関のディーラーとFX投資家との間では左程差はありません。
情報は無料ではないが・・・
最近はインターネットの発展とともに、簡単に世の中の最新情報を手に入れることが出来るようになりました。
FXの世界でも、少し待てば日本語に訳され、FXの専門家がかみ砕いた説明が配信されます。
情報というのは無料ではないものの、無料で使えるものを使いこなすところから始めても十分に儲けやすくなります。
では、次回は無料の情報をいかに有意義に生かすなどを中心に記載したいと思います