株式市場では月によってのアノマリーがよく話題になります。
アノマリーとは「Anomaly」と書き、英語では例外という意味ですが
金融界では理論的ではない説明できないが、規則性があるような意味として使用されています。
例えば、株の世界では「株は5月に売れ(Sell in May)」というのが有名ですが
ほぼ毎月にわたって何某かのアノマリーがあります。
FXに月のアノマリーはあるのか?
では、FXについてはどうでしょうか?
FXの世界に携わって数十年になりますが、「5月だからドルを売ろう!」
「11月はドルが上昇する」などと思ってトレードをしたことは一度もありません。
ただし、市場の流動性がなくなるような特徴的な乱高下は11月には起こりやすく
これは第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
で記載しました。
もっとも、データをとっていくと、数十年間でドルが上がった回数と下がった回数に
偏りがある月もありますので、そのデータを妄信してポジションを持つことも
(個人的には絶対そのような持ち方はしませんが)アリと言えばありでしょう。
むしろ、偏りという意味では「5・10日(ゴトー日)の東京仲値はドル買いが多い」
「月末のロンドンフィキシングでは大きく動く」など、これはアノマリーではなく
需給的に出やすいので、日付や時間帯での規則性は多々あります。
(ただし、ゴトー日でドル売りが強く、大損した経験もあります)
月の規則性もあるにある?
個人的には月の規則性で取引をすることはないと記載したものの
このようなことが起きた時、起きるときはFXも規則性が出そうなときがあります。
たとえば、今年から始まった新少額投資非課税制度(NISA)などでは
海外への投資のためにドル買いが出やすい状況になりましたが
このような新制度の最初の月などは規則性が出てきます。
また、2月には南ア・ランドが売られやすいというアノマリーもあります。
昨年は電力の計画停電などで経済生産が圧迫され、ランドは対ドルで約5.2%下落しました。
20年は格付け会社ムーディーズ社が、南アの見通しに対するリスクを強調したことを受け約4%下落し、
19年も財務相がここ10年で最大の財政赤字を発表したことを受けて5.9%程度下げています。
ランドは過去5年間で2月に平均2.9%下落していますが、新興国全体の下げ幅は約1%に収まっている
とのデータもあり、ランドの下げ幅は大きくなっています。
(なお、2021年と2022年はほぼ横ばいでした。)
これも規則性としては年間の予算案が同月に発表されるという事情があることで
アノマリーというよりも、政治的な財政リスクが顕在化されやすいからともいえます。
今年も緊縮財政となった南アですが、月末にかけてランドは売られるのかどうか
注目されます。