やってはいけないこれだけの理由

第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」

8月は市場参加者が減少し、夏枯れ相場に


先週の半ばまでは日本はお盆だったこともあり、東京でも市場参加者が限られていました。

金融機関にはお盆休暇などはないものの、本邦のメーカーなどが休業すると

その担当者も同時期に休む場合があります。また、お子さんの夏休みに合わせて休む人たちもいます。


欧米でも学校などが年の変わり目ということもあり、夏季休暇を取るなど

市場全体が年末に続いて参加者が減少します。


中央銀行のスケジュールを見ても、英国のイングランド銀行(BOE)が1日に金融政策委員会(MPC)

がありましたが、残りは南半球で冬にあたる豪州の豪準備銀行(RBA)と

ニュージーランドのNZ準備銀行(RBNZ)以外は理事会やMPCは開催されていません。


市場はある面、夏枯れ相場になっていると言えます。


夏枯れ相場でもFXに手を出す3タイプ


このように、市場参加者が少ないにもかかわらず、相場がある限り手を出さないといけないのでは

ないかとの強迫観念を持ってしまう方もいるようです。

ドル円が年初来高値を更新していることで、手を出させようと誘導されることもあるでしょうが

一般のFX個人投資家が無理をして夏枯れ相場の時に手を出す必要もありません。


夏枯れ相場では金融機関のディーラーも無理して手を出しませんが、

夏枯れ相場でも手を出すタイプが3つあり、そのうちの1つ以外は儲かりにくいのが現状です。



3タイプのうちのタイプ1は「手を出したくないのに手を出さなくてはいけないディーラー」

タイプ2は「手を出さないとの強迫観念から手を出しているディーラー」

そして、タイプ3は「戦略的に手を出しているディーラー」です。


それぞれの特徴を説明すると、タイプ1の「手を出したくないのに手を出さなくてはいけないディーラー」

本来であれば、相場の動きも鈍く、流動性も良くないことで無理にはディールをしたくないディーラーです。

しかしながら、顧客がいる限り持ちたくないポジションを持たされ(ある面押し付けられ)

それを捌くためや、そこから少しでも収益を確保しなくてはならないためにディールをしているにすぎません。

個人FXは押し付けられることがないのに、これに該当することは無いはずです。


タイプ2の「手を出さないとの強迫観念から手を出しているディーラー」は意外に多く、最悪の例です。

ある面ディールが病みつきになっていることで、上がるか下がるかよく分からないにもかかわらず

何かディールをしてしまいます。


このような病みつきディーラーの特徴は、動いている時に儲けることが出来なかったことで

動いていないときも儲けようとします。そして、得てして方向性もない中で手を出してしまい

更に負けが込んでしまいます。個人でFXをやっている方には、このような風には絶対になってはいけないと思います。


そして、タイプ3の「戦略的に手を出しているディーラー」ですが、8月で市場参加者があまり相場を見ていないときに

今後の経済情勢がどのように動き、FXがどういう反応を示すかを予想しているディーラーです。

このようなディーラーは、勝負は短期ではありません。8月で持っているポジションの勝負をかけるのではなく

今後の相場展開を予想して、中長期に仕掛けることが多いです。


タイプ3のディーラーは、9月に入ると各中銀が再び政策金利を発表することで、

この動きを先取りすることを念頭に置いて取引をしています。

市場参加者が少なくても、チャンスを逃す必要は全くなく、ここぞというときにはポジションを仕込みます。


もしタイプ3であれば、儲かるか否かは今後の経済動向次第ですが、仮に儲けることができなくても、

経済情勢を考え込んでFXを仕掛けたのであれば、自分の見通しの違いを今後のばねとして生かすことが出来ます。

しかし、もし自分がタイプ2であるならば、夏枯れ相場はやってはいけないでしょう。





この連載の一覧
第122回「トランプ相場もアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第121回「第2次トランプ政権・・・Xを見ないでやってはいけない」
第120回「いよいよ大統領選挙・・・この通貨の動向を知らないでやってはいけない」
第119回「円買いの流れを一瞬で止めた石破政権・・・今後の政局を知らないでやってはいけない」
第118回「想定為替レートを知らないでやってはいけない」
第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」
第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」
第114回「ディーラーは変わり身が早いのを知らないでやってはいけない」
第113回「FRBの2大責務…今は何を重要視しているかを知らないでやってはいけない」
第112回「バイアスがかかった考えをもってやってはいけない」
第111回「円相場を見るならアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第110回「7・8月の相場を振り返る・・・この反省を生かさないでやってはいけない」
第109回「日銀の政策決定会合の結果発表時間がなぜ定まらないのか」
第108回「日銀のパラダイムシフト2…正副総裁が市場流動性を破壊」
第107回「日銀のパラダイムシフト…これまで通りの考えでやってはいけない」
第105回「スポーツ賭博もFXも②・・・嘘が常態化する人はやってはいけない」
第104回「自分が一番大事?・・・様々なことを勘繰らないでやってはいけない」
第103回「円安を本当に止める気があるのか・・・何が信用できるかを確かめないでやってはいけない」
第102回「クロス円をしっかり見ないでやってはいけない」
第101回「介入を過度に警戒してはいけない」
第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
第89回「カントリーリスク・・・混迷する世界情勢を知らないでやってはいけない?」
第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
第87回「それって何の講演?・・・講演内容を知らないでやってはいけない」
第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
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第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
第40回「金融危機はまだ去っていない、最良のCEOの言葉を無視してはやってはいけない」
第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
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第27回「昨年は何の通貨をやってはいけなかったか?」
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【やってはいけないこれだけの理由】第25回「重要イベント前にポジションを取ってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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