でに30年以上前からですが、私が初めてディーリングルームに配属され、最初にアシスタントとしてついた英国人のポンドディーラーが、毎回欧州時間に入ると「なんで俺が一日稼いだものを(欧州入り後に)すべて吐き出すんだ!」と、嘆き、叫んでいました。
これまで順調に稼いでいたものが、欧州勢が参入すると流れが変わり、儲けをすっ飛ばしてしまうわけです。
この流れの変化は30年以上経過した今でも変わりません。
アジア時間で欧州通貨が動いた場合は危険
アジア時間に欧州通貨が前日や、ここ最近のレンジ(高値や安値)を大幅に更新するときがあります。
このようなことが起きた場合は、かなりの高確率で欧州勢は逆サイド(売られた場合は買ってくる、買われた場合は売ってくる)をやってきます。
上のチャートを見ても分かるように
9月26日にポンドドルは東京午前に1.08ドル半ばから、1.0350ドルの史上最安値まで下落しました。
しかしながら、欧州入り後は1.09ドル台まで戻しています。
このようなことは、今回だけでなく多々あります。
日本人にとってのドル円と同じ
このようなことはなぜか?と考えると、左程難しいことではないでしょう。
例えばドル円が143円だったものが、欧米時間に上昇し、久々に145円を超えてきたとします。
東京入り後に、まず最初に起きることは何でしょうか?
必ずそうだ、とは言いませんが、通常はディーラーがロングならいったんロングを閉じて利食う。
本邦輸出勢からすると、久々に145円台に乗ったことで、まずは輸出予約をする。
というように、はじめは売りが優勢となることが多くあります。
逆に買えていない輸入や投資家たちが、前日143 円だったものが145円になって、すぐに買うのはかなり勇気がいるでしょう。
同じようなことが欧州通貨にも言えるのではないでしょうか?
動いた原因を知る
しかしながら、必ずしもセオリーが通じない場合があります。
仮にドル円の上昇が、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「ドル高がインフレ抑制に役立つ」などと発言して上がっていたとします。
そのような場合は、利食いなどは入らず、輸出もあせらず、になるわけですので、前日なぜ動いたのかを知ることが非常に重要になるわけです。
よく考えてみると合点がいくことも、相場に熱くなっている場合はこのようなことを忘れてしまうことがプロのディーラーにも多くあります。
冷静に相場を見ることが大切になるでしょう。