やってはいけないこれだけの理由

第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」

低ボラ相場が続く・・・


ドル円は日米金利差のどうしても埋まらないギャップ。

円安進行による介入警戒感があり、上値が重く下値が堅い、膠着状態が続いています。


毎朝、「あ~また昨日と同じ水準だな」と見て、がっくり来ることもあるでしょう。

これがFXを投資という意味でやっている個人投資家で、本業はサラリーマンや自営業の人であれば

それはそれでよいのでしょうが、金融機関のFXディーラーにとっては悩ましいばかりです。


これだけボラティリティが低いと、なかなか儲けるのに苦労します。

特に平成以後でのディーラー経験が少ない人たちはFX=ドル円相場という考えなので

ドル円が動かなくなると、パタッと手が止まってしまいます。


通常であれば、他通貨で動いているものをトレードすればよいのでしょうが

昔はドル円でしか儲けたことが無いことで、他通貨をやっても勉強不足・経験不足で儲けることが出来ない状況です。


FXが動かないときはどうするのか?


FXが動かないときに、それではどうすれば良いのでしょうか?

上述した金融機関のFXディーラーは、動こうが動かないが手を出さないわけにはいきません。

動いている通貨を探すか、オプションを仕込んだりします。


なお、バイナリーオプションは金融機関ではオプションとしては認めていませんし

そのような丁半博打をすることはあり得ません。


一方、FXを仕事としていない人で、動かない相場でも重要なことは2つあります。


1つ目は、「動いていなくても相場を見続ける」ことです。

仮に前日の相場があまり動かず、レンジも限られたものだったとしても

何が起きたか、どの程度動いたかは常に頭に入れておかなくてはいけません。


動かない相場は、裏を返せばマグマがたまった状態です。

動き始めるとタガが外れたように急に大相場になる可能性があります。

その時に、前日・前週は、どのようなニュースでは反応が鈍かったか、もしくは少し反応したのか

これらを知っていないと動き始めた後に、頓珍漢なディールをしてしまうでしょう。



2つ目は、「下手な鉄砲は数撃つと弾薬代で損をする」ことです。


せっかくFXに口座を持っているから、動かないけれど取りあえず手を出しちゃおうと思う人もいるかもしれません。

しかしながら、そのような適当な感じでポジションを持ってもなかなか儲かりません。


ビギナーズラックで何回か儲かるかもしれませんが、確固たる考えもなく持ったポジションは

利食いは比較的早く、損切りはたいてい遅くなります。

「下手な鉄砲は数撃てばあたる」のですが、当たっても、鉄砲の弾薬代の方が高くついてしまいます。


また、無責任に取引を促そうとするアイデアとかが出回るでしょうが、これも話半分以下で聞いた方が良いでしょう。

何が起きたかという事実認識は重要ですが、アイデアを出している人たちも

動いていないときなどはたいてい、軽い気持ちでしか書いていないものです。



・動いていないからと言って相場を見ない、何が起きたかを調べない、はやってはいけません。

・動いていないからと言って、無理してトレードを、やってはいけません。


この連載の一覧
第122回「トランプ相場もアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第121回「第2次トランプ政権・・・Xを見ないでやってはいけない」
第120回「いよいよ大統領選挙・・・この通貨の動向を知らないでやってはいけない」
第119回「円買いの流れを一瞬で止めた石破政権・・・今後の政局を知らないでやってはいけない」
第118回「想定為替レートを知らないでやってはいけない」
第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」
第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」
第114回「ディーラーは変わり身が早いのを知らないでやってはいけない」
第113回「FRBの2大責務…今は何を重要視しているかを知らないでやってはいけない」
第112回「バイアスがかかった考えをもってやってはいけない」
第111回「円相場を見るならアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第110回「7・8月の相場を振り返る・・・この反省を生かさないでやってはいけない」
第109回「日銀の政策決定会合の結果発表時間がなぜ定まらないのか」
第108回「日銀のパラダイムシフト2…正副総裁が市場流動性を破壊」
第107回「日銀のパラダイムシフト…これまで通りの考えでやってはいけない」
第105回「スポーツ賭博もFXも②・・・嘘が常態化する人はやってはいけない」
第104回「自分が一番大事?・・・様々なことを勘繰らないでやってはいけない」
第103回「円安を本当に止める気があるのか・・・何が信用できるかを確かめないでやってはいけない」
第102回「クロス円をしっかり見ないでやってはいけない」
第101回「介入を過度に警戒してはいけない」
第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
第89回「カントリーリスク・・・混迷する世界情勢を知らないでやってはいけない?」
第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
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第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
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第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
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第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
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第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
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第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
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第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
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第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
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第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
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第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
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第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
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第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
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第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
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第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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