やってはいけないこれだけの理由

【やってはいけないこれだけの理由】第18回「サプライズ介入は成功するのか?」

9月22日の日銀介入後、10月上旬はこっそりと介入をしていた感じでしたが

本格的な介入は10月21日金曜の深夜頃と24日の早朝月曜に行われました。

 

【やってはいけないこれだけの理由】第13回「日銀介入に備える…その2」

に、日銀は通常は東京時間に介入を始め、それを繰り返したのちに

サプライズ的に東京が休場の時や、上述の油断している時間帯を狙って介入をすると記載しました。

 

米金利の低下とともに、ドル円の買いは一服していますが

今回の油断している時間帯の介入は

サプライズという切り札を早めに切りすぎてしまった可能性もあります。

 

時間帯の問題点1・・・最初は効果的、金曜深夜

 

まずは、金曜深夜と早朝月曜の介入の為替市場の特徴を知る必要があります。

 

日本時間23時はオプションのカットオフがあります。

土曜と日曜の週末2日に有事が起きる可能性があることで、オプションの価格は月曜カットは少し高めになり

金曜にオプションのカットを設定する方が安くなることで、金曜カットのものが比較的多いです。

 

そのオプション・カットの後の24時にはロンドンフィキシングがあることで

この時間帯もロンドンディーラーはかなり忙しくなります。

 

その中で介入が入ったことで、市場参加者は出来るだけ身を軽くしリスクを持たない時間帯なので

介入の効果は非常に大きくなります。

よって、通常よりも少ない介入額で効果を得ることが出来ます。

 

時間帯の問題点2・・・最初は効果的、月曜早朝

 

月曜早朝も、非常に市場参加者は忙しくしています。

特に前週末に為替介入が実施されたことで

オーダー約定の連絡や、様々な事務作業があります。

 

そして、その忙しい中での介入は油断していることもあり

金曜深夜同様に少ない額で効果を得ることが出来ます。

 

薄い時間の介入の問題点

 

上述のように、少ない介入額で効果的にドルを下げることが出来たことに満足感があるかもしれません。

21日は151.95円の高値から146.23円まで。

24日は148.40円から144.13円まで下落しています。

 

しかし、両日とも戻しが大きくなりました。

その理由としては、買いたい人たち、買わなくてはいけない人たちが

両日とも買えていないかったからです。

 

特に東京市場で輸入予約をしたかった企業からしてみれば、

まさか金曜深夜に5円超下落するとは思っていなく、買いそびれていたでしょう。

 

また、月曜の介入も通常本邦企業は9時前に、

為替予約をしていたオーダーをいったんオフ(為替予約をキャンセルする)することで

ここでも、どれほど買えたかは分かりません。

 

あまりにも切り札を早く切りすぎたために、再び買いが湧いてきて

よりドル円は底堅い相場にしてしまったと言えそうです。



切り札が少なくなる

 

これほど切り札を早く切ってしまったため

今後の切る札が非常に少なくなっています。

 

ポーカーなどの賭け事と比較することは良くないかもしれませんが

ポーカーなどと同じで、FX取引も心理戦になることが多くあります。


現在は円安・ドル高が一服していますが

切り札が少なくなった現状で再び円安が進んだ場合は

政府・財務省は次の一手をどのように切ってくるか注目されます。

この連載の一覧
第122回「トランプ相場もアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第121回「第2次トランプ政権・・・Xを見ないでやってはいけない」
第120回「いよいよ大統領選挙・・・この通貨の動向を知らないでやってはいけない」
第119回「円買いの流れを一瞬で止めた石破政権・・・今後の政局を知らないでやってはいけない」
第118回「想定為替レートを知らないでやってはいけない」
第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」
第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」
第114回「ディーラーは変わり身が早いのを知らないでやってはいけない」
第113回「FRBの2大責務…今は何を重要視しているかを知らないでやってはいけない」
第112回「バイアスがかかった考えをもってやってはいけない」
第111回「円相場を見るならアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第110回「7・8月の相場を振り返る・・・この反省を生かさないでやってはいけない」
第109回「日銀の政策決定会合の結果発表時間がなぜ定まらないのか」
第108回「日銀のパラダイムシフト2…正副総裁が市場流動性を破壊」
第107回「日銀のパラダイムシフト…これまで通りの考えでやってはいけない」
第105回「スポーツ賭博もFXも②・・・嘘が常態化する人はやってはいけない」
第104回「自分が一番大事?・・・様々なことを勘繰らないでやってはいけない」
第103回「円安を本当に止める気があるのか・・・何が信用できるかを確かめないでやってはいけない」
第102回「クロス円をしっかり見ないでやってはいけない」
第101回「介入を過度に警戒してはいけない」
第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
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第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
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第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
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第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
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第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
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第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
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第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
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第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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