今回解説していく通貨はトルコリラ円です。トルコ銀行(中央銀行)は6月から5会合連続での利上げを実施し、政策金利を8.50%から35.00%まで大きく引き上げてきました。明日(11月23日)に予定されている会合でも利上げを実施する見込み(市場予想は37.50%への利上げ)となっていますが、トルコリラの下落基調は継続。足もとで他のクロス円が軒並み年初来の高値を更新するなか、リラ円の低迷ぶりが際立っています。
では、チャート上でもトルコリラ円の状況を確認していきましょう。
トルコリラ円の週足分析
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。前回の解説(9月13日)からの推移を確認すると、買い戻しの動きが一巡し、再び戻りの鈍い状況に逆戻り。
今回チャートに追加した「一目均衡表」によると、基準線>転換線、抵抗帯(雲)>価格線、26日前の価格線>遅行スパンの状態となっており、現在も三役逆転(下降トレンド)が点灯中。前回も指摘しましたが、ここ数年に渡って一度も価格線が雲を上抜けたことがなく、相場の重しとして機能していることが分かります。
また、今回はチャート下部に「DMI」も追加してあります。-DI>+DIの状態が続いており、現在が下降トレンドであることを示唆。-DIと+DIの差は拡大しつつあり、トレンドの強さを示すADXも依然として高水準を維持するなど、しっかりとした下落トレンドが続いていることが示されています。
トルコリラ円の日足分析
では日足でも見ていきます(下図のチャート)。こちらで見ても現状が下落トレンドであることは疑いようもなく、今後も7月18日につけた過去最安値の5.11円(チャート上の丸で囲った部分)、心理的な節目の5.00円などをにらんだ動きが続くことが予想されます。
その一方で今後に反発があるとすれば目標はどの辺りになるでしょうか。足掛かりとなりそうなのが6月後半につけた戻り高値を起点とした短期下落トレンドライン(チャート上の青色点線)の上抜けでしょう。このトレンドラインは本日時点で5.35円台に位置、1か月後には5.21円台まで切り下がる見込みとなっていますが、現状からも比較的近い位置にあり、最初のターゲットとして意識されそうです。
ただ、同トレンドラインの上抜けは反発への最低条件であり、基本的には8月24日高値の5.75円台や6月後半につけた高値の6.05円台、2021年12月20日安値の6.17円付近(いずれもチャート上の青色実線)などが本格反転に向けた重要なポイントになります。これらの水準超えを果たすまでは戻りの鈍い状況が続くことが基本線と見ておいたほうがよさそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日本とトルコの金融政策。期間内にトルコ中銀が2回、日銀が1回の会合を実施予定となっております。トルコ中銀の利上げの行方が注目されるほか、最近は日銀も会合前に政策修正思惑が広がり、円相場が動意づくこともよく見られますので、今回も注意が必要となるでしょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
11月23日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合
11月24日 日本 10月全国消費者物価指数(CPI)
12月4日 トルコ 11月CPI
12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
12月21日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合
12月22日 日本 11月全国消費者物価指数(CPI)