今回解説していく通貨はドル円です。商品先物取引委員会(CFTC)が発表したポジション状況で円ショート(円売りポジション)が6年ぶりの水準まで膨れ上がり、感謝祭前のポジション調整と思われる動きでドル円が4円近く下落するなど、ドル円を巡っては荒く神経質な状態が続いています。高値警戒・介入警戒なども根強く残っており、今後も慎重に対応していく必要があるでしょう。ではチャート上でもドル円の状況を確認していきましょう。
ドル円の日足分析
今回は日足の分析から始めていきましょう。下図のチャートはドル円の日足チャートになります。前回(9月27日)からの推移を確認すると、心理的な節目であった150.00円の大台をクリアし、11月13日には151.91円まで上昇。昨年10月21日につけた直近高値の151.95円目前(チャート上の丸で囲った部分)まで迫りましたが、同水準を上抜けることができずにその後は147円台まで調整が入る場面も見られました。
ここからの上値目処は前述したように上値追いに失敗した151.90円台ということになるでしょう。下値は11月21日につけた安値の147.15円ということになりますが、併せて注目しておきたいのが「一目均衡表」。今回のチャートに追加した日足・一目均衡表によると、ドル円は4月後半に一目雲を上抜けてから一度も雲下限を割り込んでおらず、過去の調整局面ではサポートとして機能していたことが分かります。
仮に価格線が今後雲下限を下抜けるような場合、①現在の遅行スパンが26日前の価格線とほぼ同水準で推移、②現在の基準線が転換線とほぼ同水準で推移していることを考慮すると、価格線による雲下限の下抜けをもって強い売りシグナルとされる「三役逆転」が成立する可能性も高そうです。
なお、雲下限は本日(11月29日)時点で147.40円付近に位置。1カ月後には149.50円付近まで切り上がる見込みとなっています。
ドル円の週足分析
では、ここからは週足チャートを利用して前述したレジスタンス・サポートをブレイクした際のシナリオについて想定していきます。
まず上値ですが151.90円台を上抜けた場合、過去の水準からレジスタンスを拾おうとすると1990年代まで遡る必要が出てきます。ターゲットは1990年4月につけた高値の160.20円。心理的節目である160.00円も付近にあり、同水準近辺は意識されそうです。また、週足チャートで上昇が加速した2022年3月(チャート上の丸で囲った部分)を起点とするN計算値が164.40円付近に位置しており、こちらも重要なポイントになります。
一方、下値ですが現在までの大幅かつ長期間の上昇後とあって、こちらもある程度大きな調整を見込んでおく必要があるでしょう。
参考までに昨年10月から今年の1月までの調整局面を振り返ってみると、それまでの上昇幅に対する61.8%押し水準をやや超えるレベルまで調整が入りました。仮に今回の上昇局面での上値が151.91円だった場合、今年1月安値-11月高値までの上昇幅に対する61.8%押しは136.60円台。7月につけた直近安値(137.25円)前後までの調整は覚悟しておく必要がありそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は年内最後の日米の金融政策。両国とも声明文や総裁会見などで来年以降の金融政策の方向性を確認しておきたいところです。それが終了すると市場も徐々にクリスマス・年末モードへと向かっていくことになります。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
12月8日 米国 11月雇用統計
12月12日 米国 11月消費者物価指数(CPI)
12月12-13日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
12月22日 日本 11月全国CPI