米国では11月5日に4年に1度の大統領選挙が実施されます。大統領選は米国の政治・経済政策が大きく変化する重要な節目であり、為替市場でも注目を集めています。そこで今回から特別編として米大統領選挙に関する為替取引のポイントを改めて触れていこうと思います。初回の今回はFX取引について改めて学んでいきましょう。
FXとはどのような取引?利益を得るには?
FX(外国為替証拠金取引)は、ある国の通貨を別の国の通貨に交換すること(外国為替取引)を、取引額の一部に相当する金額(証拠金)を預けて行う取引です。最も耳慣れている「ドル円」はドルと円を交換する取引になりますね。
交換する取引なので、円を売って・ドルを買う(ドル円の買い)、円を買って・ドルを売る(ドル円の売り)はどちらでも可能。利益を得る・損失を被る際のイメージは以下の通りとなります。
また、スワップポイントもFX取引における重要な要素です。スワップポイントとは「金利差調整分」のことを指し、FX取引では買った通貨の金利を受け取る一方、売った通貨の金利を支払う必要があります。
ドル円を買った場合は米ドル金利を受け取り、円金利を支払うことになります。この時に米ドル金利>円金利ですと、スワップポイントに相当する金額を受け取ることができます。
取引の決済を行う前に得られる利益という意味では株式投資における配当金に近いかもしれません。配当金と違う点としてはドル円を保有している限りは日々スワップポイントを受け取れること。もちろん米ドル金利<円金利の場合はスワップポイントを支払う必要があることも覚えておきましょう。
FX取引ならではの特徴 メリット・デメリットも
ここからはFXならではの特徴をさらに紹介していきます。
・少額の資金で取引がスタートできる
FX取引では「レバレッジ」という仕組みを利用することで、自分が預け入れた資金以上の取引を行うことが可能です。レバレッジは最大で25倍まで。外国為替を利用した取引と言えば外貨預金がありますが、外貨預金は預け入れた資金以上の取引はできませんので、こちらはレバレッジが1倍ということになります。
レバレッジ25倍で取引をした場合は為替相場が想定通りに進んだ際の利益も25倍となりますが、想定通りに進まなかった場合の損失も25倍です。こちらについては大きな利益を得られるチャンス(メリット)と感じる人も、大きな損失を抱えるリスク(デメリット)と感じる人もいるでしょう。
もっとも必要以上に警戒することはありません。FX取引の特徴は「レバレッジが最大で25倍まで」ということですので、証拠金を取引額と同等の金額まで預け入れることで外貨預金と同様にレバレッジを1倍にすることも可能です。証拠金の金額次第でコントロールすることができますので、特に初心者の方はレバレッジを低く抑えることをお勧めします。
・24時間いつでも取引が可能
株式などと比較すると日本では馴染みのない外国為替ですが、実は外国為替市場は1日当たりの取引量が約6.6兆ドルとも言われる世界最大の市場規模を誇ります。世界中に取引参加者がいるので土日や元日などの一部祝日を除いて24時間取引が可能。外貨定期預金は原則として中途解約はできませんが、FX取引であればいつでも新規の取引・決済を行うことができます。
為替相場を動かす様々な要因
最後に外国為替市場を動かす要因について幾つかお話しましょう。ファンダメンタルズという言葉をご存知でしょうか。経済活動の状況を示す基礎的な要因のことを指し、一例を挙げますとGDP(国内総生産)やCPI(消費者物価指数)など様々な経済指標が各国から発表されています。為替市場ではGDPの結果が良好だった(国内経済活動が活発だった)国の通貨が買われ、そうでない国の通貨が売られることがあります。
株式市場では企業の利益や売上高、財務状況などを材料に売買されますが、為替市場ではその対象が国に置き換わるわけです。
また、外国為替市場では各国の状況が売買の材料になりますので、自然災害や戦争(地政学要因と呼びます)、政治状況なども重要なポイントです。下のチャートをご覧ください。
今年9月27日のドル円のチャート(ローソク足、1分)ですが、15時20分過ぎからわずか2分間で2円以上の変動が起きています。これは自民党総裁選の結果が判明した瞬間の相場です。一国の首相が変わると経済・金融政策なども大きな変化が生じるため、為替市場でも大きな材料として意識されました。
世界中から注目されている米国の大統領選挙はこれ以上のインパクトを相場に与える可能性があります。米大統領選を受けて、為替市場がどのような反応を示すかについても注目しておきましょう。