今回は「ローソク足」を使用した「複数足分析」について解説していきます。単線分析と組み合わせることで相場予測の精度が高まりますので、しっかり覚えておきましょう。
二本足を利用した分析
(1)包み線(抱き線)
前日の(小)陰線を翌日にまるごと包み込んだ大陽線、もしくは前日の(小陽線)を翌日にまるごと包み込んだ大陰線のことを包み線(抱き線)と呼びます。包み線(陽線)が相場の下位で出現した場合は上昇転換を、包み線(陰線)が相場の上位で出現した場合は下落転換を示唆しているとされています。
これは2日分の値動きを1本のローソク足として表現すると分かりやすくなりますが、包み線(陽線)は前回解説した下影陽線、包み線(陰線)は上影陰線へと書き直すことが可能です。このように複数のローソク足を1本で描き直すとどうなるかという見方は重要なので、常にイメージできるようにしておきましょう。
(2)はらみ線
はらみ線は包み線の逆のパターン。前日の陽線もしくは陰線の「実体」内収まるように、翌日小さい線が出た場合をはらみ線と呼びます。※翌日小さい線は陽線・陰線のどちらでも問題はありません。
こちらも1本のローソク足に書き直してみましょう。それぞれ上影陽線、下影陰線と表現できることが分かると思います。
なお、二本足を利用した分析ではその他にもたすき線やかぶせ線など様々な種類がありますが、24時間取引が原則の外国為替市場では土日を挟んだ急騰・急落を除くとほとんど出現しません。ただ、基本的な考え方は1本のローソク足で書き直すことで判断が可能できますので、その都度試してみましょう。
三本以上の足を利用した分析
(1)三兵
「三兵」とは江戸時代に生み出されたいわゆる「酒田五法」の一つです。3本の陽線(陰線)が平行した形で下値を切り上げる(上値を切り下げる)ように並んでいるもので、相場の先高観(先安観)を示します。
なお、陽線(陰線)の実体が徐々に小さくなるケースは勢いの衰えを示しているので「三兵」とは呼びません。「三兵」の中でも底値圏で3本連続した陽線を「赤三兵」、天井圏で3本連続した陰線を「黒三兵」と呼び、それぞれ強い先高観と先安観を暗示しているとされています。
(2)その他の坂田五法
3本以上のローソク足で三つの山を形成したものを「三山(中央の山が高いものを三尊)」、三つの底を形成したものを「三川(中央の底が高いものを逆三尊)」になります。「三尊」「逆三尊」というフレーズを覚えているかと思いますが、これはフォーメーション分析で紹介したヘッドアンドショルダーズのことです。考え方も同じものですね。その他には「三空」などがありますが、外国為替市場では連続で窓が空くことはほぼありません。