FX 誰にでもわかるチャート教室

第36回 ローソク足(3)

今回は「ローソク足」を使用した「複数足分析」について解説していきます。単線分析と組み合わせることで相場予測の精度が高まりますので、しっかり覚えておきましょう。


二本足を利用した分析

(1)包み線(抱き線)

前日の(小)陰線を翌日にまるごと包み込んだ大陽線、もしくは前日の(小陽線)を翌日にまるごと包み込んだ大陰線のことを包み線(抱き線)と呼びます。包み線(陽線)が相場の下位で出現した場合は上昇転換を、包み線(陰線)が相場の上位で出現した場合は下落転換を示唆しているとされています。


これは2日分の値動きを1本のローソク足として表現すると分かりやすくなりますが、包み線(陽線)は前回解説した下影陽線、包み線(陰線)は上影陰線へと書き直すことが可能です。このように複数のローソク足を1本で描き直すとどうなるかという見方は重要なので、常にイメージできるようにしておきましょう。


(2)はらみ線

はらみ線は包み線の逆のパターン。前日の陽線もしくは陰線の「実体」内収まるように、翌日小さい線が出た場合をはらみ線と呼びます。※翌日小さい線は陽線・陰線のどちらでも問題はありません。

こちらも1本のローソク足に書き直してみましょう。それぞれ上影陽線、下影陰線と表現できることが分かると思います。



なお、二本足を利用した分析ではその他にもたすき線やかぶせ線など様々な種類がありますが、24時間取引が原則の外国為替市場では土日を挟んだ急騰・急落を除くとほとんど出現しません。ただ、基本的な考え方は1本のローソク足で書き直すことで判断が可能できますので、その都度試してみましょう。


三本以上の足を利用した分析

(1)三兵

「三兵」とは江戸時代に生み出されたいわゆる「酒田五法」の一つです。3本の陽線(陰線)が平行した形で下値を切り上げる(上値を切り下げる)ように並んでいるもので、相場の先高観(先安観)を示します

なお、陽線(陰線)の実体が徐々に小さくなるケースは勢いの衰えを示しているので「三兵」とは呼びません。「三兵」の中でも底値圏で3本連続した陽線を「赤三兵」、天井圏で3本連続した陰線を「黒三兵」と呼び、それぞれ強い先高観と先安観を暗示しているとされています。


(2)その他の坂田五法

3本以上のローソク足で三つの山を形成したものを「三山(中央の山が高いものを三尊)」、三つの底を形成したものを「三川(中央の底が高いものを逆三尊)」になります。「三尊」「逆三尊」というフレーズを覚えているかと思いますが、これはフォーメーション分析で紹介したヘッドアンドショルダーズのことです。考え方も同じものですね。その他には「三空」などがありますが、外国為替市場では連続で窓が空くことはほぼありません。

この連載の一覧
第93回 メキシコペソ円、上昇トレンドは健在だが・・
第92回 トルコリラ円、大きなチャンス到来か
第91回 豪ドル米ドル、上方向は攻めづらい
第90回 NZドル米ドル、トレンド転換につながる注目ポイントに接近
第89回 ユーロドル、ヘッド・アンド・ショルダーズの完成なるか
第88回 ドル円、5月中にも上方向へブレイクか
第87回 豪ドル円、上昇トレンド継続に黄色信号
第86回 NZドル円、上昇トレンド継続も目先は調整リスク
第85回 ポンドドル、長期下降トレンドの転換は間近?
第84回 ランド円、上昇トレンドは本物か
第83回 メキシコペソ円、レンジブレイクのチャンス到来
第82回 ユーロドル、レンジ相場脱却の手掛かりは乏しい
第81回 トルコリラ円、昨年8月以来のチャンスをものにできるか
第80回 ドル円、上昇トレンドを維持も上値追いは慎重に
第79回 NZドル米ドル、長期下落トレンドのブレイクは失敗か
第78回 豪ドル米ドル、依然として下落トレンド
第77回 ポンド円、来年以降の下値リスクに警戒
第76回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの可能性高まる
第75回 メキシコペソ円、レンジ相場がしばらく継続か
第74回 ユーロドル、メインシナリオはレンジ相場
第73回 ドル円、ポイントは一目均衡表雲の維持
第72回 低迷ぶりが際立つトルコリラ円、反発の可能性は?
第71回 豪ドル円、上値トライのチャンスだが力強さを欠く
第70回 NZドル円、いよいよ過去最高値も視野入りか
第69回 ユーロ円、月足チャートでは不安なし 週足では?
第68回 ポンドドル、一目雲に接近で正念場に
第67回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの懸念消えず
第66回 NZドル米ドルに反発のチャンス到来?
第65回 好調なメキシコペソ円に失速の気配
第64回 ドル円、150円台までは介入の可能性低い
第63回 カナダドル円、110円台への再挑戦が迫る
第62回 リラ円、一目雲を数年来上抜けできず
第61回 今後の豪ドル米ドル相場
第60回 今後のユーロドル相場
第59回 今後のポンドドル相場
第58回 今後のランド円相場
第57回 今後のNZドル円相場
第56回 今後のドル円相場
第55回 今後のメキシコペソ円相場
第54回 今後のトルコリラ円相場
第53回 今後の豪ドル円相場
第52回 今後のNZドル米ドル相場
第51回 今後のユーロドル相場
第50回 今後のユーロ円相場
第49回 今後の豪ドル米ドル相場
第48回 今後のポンド円相場
第47回 今後のドル円相場
第46回 今後のランド円相場
第45回 今後のトルコリラ円相場
第44回 今後のNZドル円相場
第43回 今後のメキシコペソ円相場
第42回 今後のユーロドル相場
第41回 今後の豪ドル円相場
第40回 今後のドル円相場
第39回 ダウ理論とエリオット波動(3)
第38回 ダウ理論とエリオット波動(2)
第37回 ダウ理論とエリオット波動(1)
第36回 ローソク足(3)
第35回 ローソク足(2)
第34回 ローソク足(1)
第33回 一目均衡表(4)
第32回 一目均衡表(3)
第31回 一目均衡表(2)
第30回 一目均衡表(1)
第29回 リトレースメント
第28回 避けられるリスク(その他の国編)
第27回 避けられるリスク(英国・オセアニア編)
第26回 避けられるリスク(日本・欧州編)
第25回「誰にでもわかるチャート教室」 避けられるリスク(米国編)
第24回「誰にでもわかるチャート教室」 ポイント&フィギュア
第23回「誰にでもわかるチャート教室」 練行足とカギ足
第22回「誰にでもわかるチャート教室」 新値足
第21回「誰にでもわかるチャート教室」 パラボリック
第20回「誰にでもわかるチャート教室」 エンベロープとボリンジャーバンド
第19回「誰にでもわかるチャート教室」 MACD
第18回「誰にでもわかるチャート教室」 ROC
第17回「誰にでもわかるチャート教室」 突発的な急変動に対処する
第16回「誰にでもわかるチャート教室」 DMI
第15回「誰にでもわかるチャート教室」 サイコロジカル・ライン
第14回「誰にでもわかるチャート教室」 RCI
第13回「誰にでもわかるチャート教室」 ストキャスティクス
第12回「誰にでもわかるチャート教室」 RSI
第11回「誰にでもわかるチャート教室」 時間軸の考え方
第10回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その4
第9回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その3
第8回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その2
第7回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その1
第6回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その2
第5回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その1
第4回「誰にでもわかるチャート教室」チャネルラインと外国為替市場の独自性
第3回「誰にでもわかるチャート教室」相場の方向性が一目瞭然、トレンドライン
第2回「誰にでもわかるチャート教室」相場のトレンドを探る
第1回「誰にでもわかるチャート教室」 相場が不安定だからこそ、チャート分析に頼りたい

為替情報部 アナリスト

岩間 大祐

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。 外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

岩間 大祐の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております