今回解説していく通貨はトルコリラ円です。前回の解説(4月17日)以降にトルコ銀行(中央銀行)は2会合連続で政策金利の据え置きを決定。中銀は5月でインフレがピークアウトし、夏頃から減速していくとの見通しを示しており、想定通りであれば次の一手は利下げとなるでしょう。
5月に前年比75%上昇を記録した消費者物価指数が今後思惑通りに減速していくのか、トルコの金融政策と併せて見極めていく必要がありますが、チャート上でもトルコリラ円の状況を確認していきましょう。
トルコリラ円の週足分析
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。前回の解説(4月17日)からの推移を確認すると、3月につけた過去最安の4.54円からじわりと買い戻しが進み、4月末には一時4.91円まで上昇する場面も見られました。
今回のチャートに追加した「一目均衡表」で見ても、強い売りシグナルとされる「三役逆転」が点灯していた前回から大きく変化。転換線が基準線を上抜けたほか、足もとでは遅行スパンも26日前の価格線に迫ってきています。重要な基準線が下向きで推移しているほか、価格線が分厚い抵抗帯(雲)を上抜けていくのはまだまだ時間を要するであろうことなど、今後「三役好転」に至る可能性は低いものの、売り材料一色であったこれまでとは大きな違いが見られています。
チャート下部に追加した「DMI」でも、現在は-DI>+DIの状態(下落トレンド)となっていますが、トレンドの強さを示すADXは低下基調。-DIと+DIも急接近しており、今後の展開次第ではトレンド転換が生じる可能性もあるでしょう。
トルコリラ円の日足分析
次に日足で短期的な状況も見ていきましょう(下図のチャート)。一目均衡表では強い買いシグナルとされる「三役好転」こそ点灯していないものの、足もとでは抵抗帯(雲)がサポートとして機能している傾向もうかがえます。
目先は3月安値を起点とした短期上昇トレンド(チャート上の黄色実線)を維持できるかがポイントになるでしょう。このトレンドラインは本日時点で4.77円付近に位置、1カ後には4.84円付近まで切り上がる見込みです。上値は4月末に届かなかった年初来高値の4.94円(チャート上の青色実線)が目処、同水準や節目の5.00円などを上抜けると、昨年7月18日安値の5.11円が次の上値目標となります。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目はトルコの金融政策。今回も金利は据え置かれると予想されていますが、金融政策方針について改めて確認しておく必要があるでしょう。また、前述したようにトルコのインフレが鈍化していくのか、6月CPIの結果にも注目が集まります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
6月21日 日本 5月全国消費者物価指数(CPI)
6月27日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合
7月3日 トルコ 6月CPI
7月19日 日本 6月全国CPI