今回解説していく通貨はトルコリラ円です。トルコ銀行(中央銀行)は前週(1月25日)の金融政策決定会合で政策金利を42.50%から45.00%へと引き上げることを決定。昨年6月から8会合連続での利上げを実施し、この間の利上げ幅は計36.50%に達しました。
一方で、今回の声明文では「必要な金融引き締めは達成された」と言及。金融政策の方針変更を示唆しています。年始からトルコを巡る金融政策の方向性に大きな変化が見られていますが、チャート上でもトルコリラ円の状況を確認していきましょう。
トルコリラ円の週足分析
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。前回の解説(昨年11月22日)からの推移を確認すると、年末に向けてさらに売りの勢いが加速。7月18日につけた過去最安値の5.11円を下抜けて、12月28日には4.74円まで下値を拡大しました。
今回チャートに追加した「一目均衡表」によると、基準線>転換線、抵抗帯(雲)>価格線、26日前の価格線>遅行スパンの状態となっており、いわゆる「三役逆転」が点灯中。チャート下部に追加した「DMI」でも-DI>+DIの状態が続いており、いずれのテクニカル指標からも現在が下降トレンドであることがはっきりと示されています。さらにDMIではトレンドの強さを示すADXが上昇傾向にあり、下降トレンドが強まっている可能性もありそうです。
トルコリラ円の日足分析
では日足でも見ていきます(下図のチャート)。今年に入ってからは下げ渋りの動きとなっており、チャート上から見ると昨年8月以来となる調整局面を迎えているようです。チャート下部に追加したDMIではADXが急速に低下していることからトレンドが強いとは言えないものの、ここにきて+DI>-DIとなっており、短期的には上昇トレンドに転換した可能性が示唆されています。
リラ円は昨年8月以来の反転チャンスを迎えたと言えますが、本格反転に至るには依然として多くの障害(レジスタンスポイント)が控えている状況です。まずは昨年6月後半につけた戻り高値を起点とした短期下落トレンドライン(チャート上の青色点線)がポイントとなるでしょう。このトレンドラインは本日時点で5.03円台に位置、1カ月後には4.90円台まで切り下がる見込みとなっていますが、最初のターゲットとして意識されそうです。
そのうえで昨年8月24日高値の5.75円台や6月後半につけた高値の6.05円台、2021年12月20日安値の6.17円付近(いずれもチャート上の青色実線)などが本格反転に向けた重要なポイントになります。水準的には遠いですが、本格的な反発を目指すにはこれらの水準を上抜ける必要があります。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。期間内に日銀金融政策決定会合は予定されておらず、金融政策の公表はトルコのみです。トルコ中銀についても前回の声明で「金融引き締めの影響の遅れを考慮して、(政策金利)水準は必要な限り維持される」と述べていることから、しばらくは金利の据え置きが見込まれています。
ただ、トルコのインフレ率に関しては中銀の度重なる利上げにもかかわらず、昨年後半から再び上昇しつつあるため、1月CPIの行方にも注目しておく必要があるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
2月5日 トルコ 1月消費者物価指数(CPI)
2月22日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合
2月27日 日本 1月全国CPI