今回解説していく通貨はユーロ円です。欧州中央銀行(ECB)は6月の理事会で予想通りに利下げを開始(4.50%から4.25%へ)。一方、日銀は7月会合で追加利上げを実施しており、今後は日欧金利差も縮小していくことになるでしょう。政府・日銀による為替介入の影響もあり、ユーロ円も含めてクロス円全般が非常に不安定な動きとなっていますが、チャート上でもユーロ円の状況を確認していきましょう。
ユーロ円の週足分析
下図のチャートはユーロ円の週足チャートになります。前回の分析(5月22日)からの推移を見ていくと、じりじりと上値を伸ばす展開となり、7月には一時175.43円までユーロ導入来の高値を更新。ただ、その後は為替介入などの影響でドル円・クロス円が総崩れとなり、ユーロ円も154.42円まで20円超急落する場面も見られました。
7月中旬からの急落局面では、前回指摘していたサポートライン①2023年12月安値を起点とした上昇トレンドライン(チャート上の青色点線)、②2023年3月安値を起点とした上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)などを軽々と下抜けて、一時は最も重要なサポートラインであった2022年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)もブレイクしました。
ただ、ブレイク後は週内に買い戻しが入り、2022年3月安値を始点とする上昇トレンドラインはいったん回復して終えた格好となりました。これを「ダマシ」と見るかは非常に難しいところですが、少なくともこのトレンドラインは今後も意識しておく必要があるでしょう。
なお、今回のチャート下部に追加した「DMI」は当然ながら-DI>+DI(下落トレンド)へと転換。トレンドの強さを示すADXも高値圏を維持しており、まだ下方向に関しては予断を許さない状況が続いています。
ユーロ円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート、8月12日執筆時点)。2022年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)、および上昇トレンドを利用した「チャネルライン(チャート上の黄色点線)」は週足と同じものです。
8月5日に154.42円まで下げた後、7日には161.44円まで7円超戻すなど日足で見ても値動きの荒さは一目瞭然ですね。依然として相場は落ち着きを取り戻したとは言えないだけに、ここからは押し目買い・戻り売りのどちらで勝負する場合でも慎重に臨む必要があります。
戻り売りの場合は8月7日高値の161.44円(チャート上の赤丸で囲った部分)、7月25日安値の164.83円(チャート上の青色実線)、7月26日高値の168.01円(チャート上の青丸で囲った部分)などを目処とし、これらの水準に接近してから仕掛けていくとよさそうです。
一方で押し目買いの場合ですが、まだ急落後からの最初の買い戻し局面にあるため、押し目らしい押し目がない状況です(あえて言えば8月6日安値の157.30円でしょうか)。これから押し目買いのポイントも形成されていくことになるのでしょうが、次の下落局面で再び8月5日安値の154.42円を試しにいく可能性もゼロではありません。同水準を下抜けるといよいよ長期の上昇トレンドも完全に終了となりますので、そこは頭に入れておくべきでしょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・欧の金融政策。期間内に日銀の金融政策決定会合は予定されていませんが、9月19-20日の次回会合が近づくにつれて思惑的な動きや関連報道などでユーロ円などクロス円が全般に動意づくことも予想されます。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
8月23日 日本 7月全国消費者物価指数(CPI)
8月30日 ユーロ圏 8月消費者物価指数(HICP、速報値)
9月12日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)定例理事会