今回解説していく通貨は豪ドル円です。他のクロス円と同じく7月以降は政府・日銀による円買い介入と日銀の追加利上げを受けて相場は大きく変化。前回の分析(6月12日)から豪ドル円を取り巻く様相は一変したようです。
その一方で豪準備銀行(RBA)はこの間も政策金利を維持。インフレ鈍化がRBAの想定通りに進んでおらず、他の中銀と比較しても利下げ開始時期は遅れる見込みです。この辺りが豪ドル円にどのような影響を与えるか気になるところですが、チャート上でも豪ドル円の状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。前回の分析(6月12日)からどのように推移したかを見ていきますと、7月11日には一時109.37円と1991年3月以来の高値を更新したものの、その後は急ピッチで上値を切り下げる展開となり、8月5日には90.15円まで反落。わずか1カ月弱で19円超の急落となりました。現在(2日執筆時点)は下値を切り上げる展開となっており、100円の大台手前まで値を戻しています。
前述した急落の間に2023年3月安値を起点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)や2020年3月安値を起点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)を下抜けており、4年超続いた上昇トレンドはいったん終了。現在は2020年3月安値を起点とする上昇トレンドラインを再び回復しつつあるものの、一度はっきりと下抜けただけに今後サポートとして機能するかは不透明です。
また、チャート下部に追加した「DMI」でも-DI>+DI(下落トレンド)を示しており、足もとの買い戻しがそのまま新たな上昇トレンドにつながるかについては、もう少し時間をかけながら見極める必要がありそうです。
豪ドル円の日足分析
では、新たなトレンド形成に向けた手掛かりを短期的な視点から探ってみましょう。下図のチャートは豪ドル円の日足チャートになります。
セリングクライマックスが起きたとみられる8月5日の翌日、6日安値から仮の上昇トレンドラインを引いてみました(チャート上の黄色実線)。このトレンドラインを維持しながらどこまで上値を試せるかが注目となりますが、目先のポイントとなりそうなのが7月30日高値の101.78円辺り(チャート上の青色実線)。同水準付近には7月11日高値-8月5日安値の下げ幅に対する61.8%戻し水準(102.03円)も控えています。
また、同半値戻しは99.76円付近なので現時点では完全な回復に至っていません。99円台後半から100円の大台回復もテクニカル上では重要なポイントになりそうですね。
一方、下値については前述した8月6日安値を始点とする上昇トレンドラインのほかに、8月26日につけた直近安値の97.27円(チャート上の丸で囲った部分)などもサポートとして意識されそうです。
今後はこうした短期的なレジスタンス・サポートポイントを確認しながら、改めて上昇トレンドが形成されるのか、それとも一段の下落トレンドへと進むのか、慎重に見極めていきましょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・豪の金融政策。今年からRBAの理事会スケジュールが変更されたことで日銀と開催時期が重なることも増えてきました。両中銀の金融政策に絡んで思惑的な動きも短期間に進みやすくなりますので、9月中旬以降は特に注意が必要となるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
9月19-20日 日本 日銀金融政策決定会合
9月20日 日本 8月全国消費者物価指数(CPI)
9月23-24日 豪州 豪準備銀行(RBA)理事会
9月25日 豪州 8月CPI
9月27日 日本 自民党総裁選