今回解説していく通貨は豪ドル円です。豪準備銀行(RBA)は今月開催された金融政策決定理事会で、政策金利を現行の4.10%から4.35%へと引き上げることを決定。5会合ぶりに利上げに踏み切りました。豪ドルは金融政策の公表直後こそ買いで反応したものの、その後はすぐに豪金利の低下とともに反落するなど荒い反応を見せました。市場では「RBAの次の一手」を巡って神経質になっているようですが、チャート上でも豪ドル円の状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります(11月7日作成)。前回の分析(7月12日)からどのように推移したかを見ていきますと、今年6月中旬にかけての上昇局面では昨年9月の前回高値を超えられず、その後は調整含みの展開となりました。もっとも、調整が一巡すると再び買い戻しが入り、足もとでは上値を目指す展開となっています。
ここからの目標はやはり昨年9月高値(98.60円)の上抜けになります。今年6月には失敗したものの、依然として上昇トレンドは崩れていないため、上値トライのチャンスが到来したようです。今年3月24日安値を起点として新たに引き直された上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)が目先はサポートとなるでしょう。なお、このトレンドラインは本日(11月15日)時点で94.60円台に位置しており、1カ月後には95.70円台まで切り上がる見込みとなっています。
そのほかでは10月3日安値の93.07円や7月28日安値の91.80円(いずれもチャート上の赤丸で囲った部分)も重要なサポートとして意識されそうです。
豪ドル円の月足分析
また、今回は直近高値を上抜けた場合の次のシナリオを考えるため、月足でも見ていきます(下図のチャート)。現在は2020年3月安値を起点とする上昇トレンドにあるようですね。週足分析でターゲットとした昨年9月高値(98.60円)を上抜けた場合ですが、2014年11月高値の102.85円、2013年4月高値の105.43円、2007年10月高値の107.87円などが次の目標になるでしょう(いずれもチャート上の青丸で囲った部分)。
その一方で、チャート下部に追加した「DMI」では気になる点もありました。DMIによるとトレンドの強さを示すADXがここ数年間で最も低水準にあり、現在のトレンドが決して力強いものではないことを示唆。トレンド自体は+DI>-DI(上昇トレンド)となっているのですが、前述した過去10数年来の重要なレジスタンスを上抜けるような勢いがあるかについては、やや疑わしく思われます。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目は12月5日に公表される豪金融政策。また、期間内ではないですが12月18-19日には年内最後の日銀金融政策決定会合が予定されており、こちらも市場の注目を集めそうです。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
11月21日 豪州 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨
11月24日 日本 10月全国消費者物価指数(CPI)
11月29日 豪州 10月CPI
12月5日 豪州 RBA、政策金利発表