今回解説していく通貨はドル円です。足もとで1986年以来の高値更新を続けていたドル円ですが、7月11日には4円超の急落となりました。どうやら今回も政府・日銀による為替介入が実施された可能性が高いとのこと。前回(4月末から5月上旬)の為替介入時を思い起こしてみると、円高方向に8円超ほど進んだものの、すぐに円売り・ドル買いが優勢となり、その後2カ月ほどで「全戻し」となりました。今回はどのような推移を辿るか注目されますが、チャート上でも状況を確認していきましょう。
ドル円の週足分析
まずは円買い介入が実施されたとされる直近の状況を見てみましょう。下図のチャートはドル円の週足チャート。今回の介入(と思わしき動き)を受けた下落幅が前回の介入時よりも小幅なものにとどまっていること、昨年末安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)をブレイクするには至っていないことがうかがえます。また、チャート下部に追加した「MACD」によると、MACDは正の値を示しており、現在も上昇トレンドにあることを示しています。
では今後の下値目処として意識されそうなポイントも確認しておきましょう。まずは先ほど取り上げた昨年末安値を始点とする上昇トレンドラインです。本日時点で157.50円台に位置しており、1カ月後には160.10円台まで切り上がる予定となっています。さらに過去の上昇・調整局面で何度もポイントとなった151.90円付近(チャート上の青色実線)も大事なサポートゾーン。前回の介入時もこの水準付近で下げ止まっており、最重要ポイントと言えるでしょう。
ドル円の月足分析
ここまでは主にサポート水準についてみてきましたが、ここからは今後の上値余地についても確認していきましょう。下図のチャートはドル円の月足チャートです。
直近で1986年以来の高値をつけていたことからも分かる通り、チャート上から過去の上値目処を探るのは困難です。1986年以前の重要そうなポイントを探すのも一つの手ですが、ここでは現在のチャートから上値目処を探ってみます。
現在ですが大雑把にみると2023年から続いている上昇トレンド(チャート上の黄色点線で挟んだゾーン)にあることがわかるかと思います。上昇トレンドの始点は2023年1月安値の127.23円付近です(チャート上の丸で囲った部分)。ここを起点として「一目均衡表の水準論」を取り入れてみましょう。
V計算値=163.57円
N計算値=164.93円
E計算値=176.59円
この中でE計算値は現時点ではやや遠い水準にありますが、V計算値やN計算値は十分に射程内。7月3日につけた直近高値の161.95円を再び上抜けた際にはこれらの水準なども意識しておきたいところです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は奇しくも同日に開催されることになった日米の金融政策会合。米国では利下げ観測が急速に高まっており、一部では7月会合での利下げを予想する向きもあるようです。また、7月31日には財務省が期日内の介入実績を明らかにするため、今回の介入の有無についても確認しておきましょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
7月19日 日本 6月全国消費者物価指数(CPI)
7月26日 米国 6月PCEコア・デフレーター
7月30-31日 日本 日銀金融政策決定会合
7月31日 日本 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
7月30-31日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
8月2日 米国 7月米雇用統計
8月14日 米国 7月CPI