今回解説していく通貨はポンド円です。日英の中央銀行は12月に開催された年内最後の金融政策決定会合で、いずれも政策金利の据え置きを決定。ただ、市場では来年の早い時期に日銀が金融政策の正常化、英中銀(BOE)が利下げに向かうと想定しており、日英の金融政策の方向性にも大きな変化が見られると予想されます。足もとでは堅調地合いを維持しているポンド円ですが、来年以降は両国の金融政策を背景に失速することになるのか。チャート上でもポンド円の状況を確認していきましょう。
ポンド円の週足分析
下図のチャートはポンド円の週足チャートになります。長期視点では2020年3月安値を始点する上昇トレンド(チャート上の黄色実線)が継続中であり、足もとでは上昇の勢いが加速しているようです。今後のターゲットとなるのは2015年につけた高値の195円台(チャートの丸で囲った部分)ということになるでしょう。
もっとも、今回チャート下部に追加した「MACD」がマイナス圏に転落し、売りシグナルを示していることは気になるところ。さらに足もとの状況は価格が下値を切り上げる一方で、MACDが上値を切り下げているため、「弱気のダイバージェンス」とみることもできそうです。こちらも売りシグナルとなりますので注意しておきましょう。
ポンド円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャートに付加した「一目均衡表」を確認すると、転換線が基準線を下回って推移しており、価格線も抵抗帯(雲)を下抜け、遅行スパンが26日前の価格線を下回っています。いわゆる「三役逆転」と呼ばれる強い売りシグナルが点灯しています。
ということであれば今後サポート水準になるであろうポイントは把握しておきたいところ。目先は12月14日安値の178.36円、10月3日安値の178.18円、7月28日安値の176.33円(いずれもチャートの丸で囲った部分)などが順次サポートポイントとして意識されるでしょう。また、その他では過去にレジスタンスとして機能していた172円台前半の水準が今後サポートに転じる可能性があり、こちらも注目しておきたいところです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。英国の金融政策は予定されておらず(次回英MPCは2月1日)、注目は日銀の金融政策ということになります。
日銀に関しては12月に入って金融政策正常化への思惑が急速に高まったものの、植田総裁は現行の緩和方針を維持。1月会合での政策修正についても「1月会合までの新しい情報次第にならざるを得ないが、新しいデータはそんなに多くない」と述べており、マイナス金利解除の可能性は低いかもしれません。もっとも、本命視されている3月会合に向けて市場の思惑も再び高まることは確実でしょうし、ポンド円も含めてクロス円全般も大きく動意づくことが予想されます。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
1月17日 英国 12月消費者物価指数(CPI)
1月19日 日本 12月全国消費者物価指数(CPI)
1月22-23日 日本 日銀・金融政策決定会合