トレンド分析系指標の2回目、今回紹介するのは「MACD」です。個人投資家の間でも人気の高いテクニカル指標ですね。
MACDは移動平均のかい離を示す
MACDとは「Moving Average Convergence - Divergence」の頭文字を取ったもので、「Moving Average = 移動平均線」を使った分析手法となります。残りの「Convergence」は日本語で言うと「収束」、「Divergence」は「発散」となりますので、移動平均収束発散法などと呼ばれます。
計算式は以下の通りです。
MACD = ( 12日EMA - 26日EMA )
Signal = MACDの9日EMA
MACDヒストグラム = MACD - Signal
上記の計算式で使用しているEMAとは指数平滑移動平均です。単純移動平均と比べて、過去の価格よりも直近の価格に比重を置いて計算された平均となるため、直近の値動きに対する反応が早くなります。
また、「12、26、9」の箇所は任意のパラメーターで自由に設定が可能ですが、一般的にはこの数値がよく使用されます。
計算式からも分かるように、MACDは短期・長期の移動平均かい離を示しています。価格が上昇トレンドにある時は短期EMA>長期EMAとなるのが基本ですので、MACDは正の値を示します。反対に下降トレンド時には短期EMA<長期EMAとなり、MACDは負の値を示すことになりますね。
次にSignalですが、これはMACDの指数平滑移動平均。MACDヒストグラムはMACDとSignalのかい離を示し、トレンドの「勢いの増減」を表しています。MACDヒストグラムが正の値であればMACDが増加基調、負の値であればMACDが減少基調となります。
MACDの基本的な利用法
MACDで判断する基本的な売買シグナルは、MACDが負の値→正の値に転換した時点で買い、正の値→負の値に転換した時点で売り、というもの。下図はユーロドルの日足チャート。下部に「12、26、9」で設定したMACDが加えてあります。
ゼロ水準をまたいで買い・売りのシグナルが発生した主要なポイントに丸印をつけてみました。トレンドの転換を概ね捉えていると言っても良さそうですが、前回のROCと同様にシグナルが点灯するタイミングが遅れるケースも見られます。
MACDで利用できる様々な売買シグナル
これに対してより信頼度が高いとされているのがMACDのピークアウトで売り、ボトムアウトを買いとするシグナル。下図は同じくユーロドルの日足チャートになりますが、主要なピーク・ボトムアウトに丸印をつけています。
こちらの方が適切にトレンド転換の判断ができているようですね。しかし、MACDのピーク・ボトムアウトは後から判断して正確に分かるポイントであり、その時点では判断が難しいという点も頭に入れておくべきでしょう。
また、その他のシグナルとして有効とされているポイントも紹介します。
・MACDヒストグラムで判断
MACDヒストグラムが負の値から正の値に転換→買い
MACDヒストグラムが正の値から負の値に転換→売り
さらにROCでもあった「ダイバージェンス」の考え方もMACDで利用することが可能です。
価格が下値を切り上げる展開、かつMACDが上値を切り下げる→「弱気のダイバージェンス=売り」
価格が上値を切り下げる展開、かつMACDが下値を切り上げる→「強気のダイバージェンス=買い」
色々と自分が使いやすい手法を探ってみるとよいでしょう。