今回解説していく通貨はポンド円です。英中銀(BOE)は11月の金融政策決定委員会(MPC)で政策金利の引き下げを決定し、政策金利は現在4.75%に。一方、日銀は今週の金融政策決定会合で利上げ期待が高まっており、日・英金利差は縮小していく見込みです。また、英国では財政懸念でポンドが急落する場面も見られるなど、目先は金融政策以外でも注意が必要な局面にあります。では、チャート上でもポンド円の状況を確認していきましょう。
ポンド円の週足分析
下図のチャートはポンド円の週足チャートになります。前回の分析(10月9日)からの推移を確認すると、何度か節目の200円を試しにいく場面があったものの、大台乗せに失敗すると足もとでは190円割れ水準まで押し戻されています。
チャート的には昨年10月末と12月末の高値(チャート上の赤丸で囲った部分)で「ダブルトップ」を形成しかけている状況です。
ダブルトップの完成にはネックラインとなる昨年12月3日安値の188.09円(チャート上の青色実線)を下抜ける必要がありますが、ダブルトップが完成した際には昨年8月5日につけた直近安値180.11円(チャート上の青丸で囲った部分)も目標値として視野に入り、2020年3月安値を始点する上昇トレンド(チャート上の黄色実線)のブレイクを試しにいく可能性も否定はできないところ。断続的に下押し圧力が高まるだけに注意が必要となるでしょう。
ポンド円の日足分析
では、今度は日足のトレンドも確認しておきましょう(下図のチャート、20日執筆時点)。チャート上の黄色および青色実線は週足分析で紹介したものと同じものです。
前回の分析時に指摘した8月5日の直近安値を始点とした短期の上昇トレンドライン(黄色点線)は12月初旬にブレイク。その後も短期の上昇トレンドラインをその都度引き直していますが、上昇トレンドラインの角度が段々と穏やかになっていく様子は「上昇のモメンタムが弱くなっている証拠」でもあります。
さらにチャート下部に付加した「DMI」によると、足もとでは-DI>+DI(下落トレンド)になっており、かつトレンドの強さを示すADXも上昇傾向。今後、ダブルトップのネックラインを試しにいく可能性は十分にありそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・英の金融政策。特に日銀に関しては当局者発言や観測報道などで直近の円相場が荒い値動きとなっており、当日の結果や植田日銀総裁の会見などを受けてポンド円相場が上下に振らされる可能性も高いでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
1月23-24日 日本 日銀、金融政策決定会合
1月24日 日本 12月全国消費者物価指数(CPI)
2月6日 英国 英中銀、政策金利発表
2月19日 英国 1月CPI
2月21日 日本 1月全国CPI