今回解説していく通貨はドル円です。先週には日米で金融政策決定会合が開催されました。日銀は現状の大規模緩和策を継続していく姿勢を改めて表明。これに対して米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利こそ市場予想通りの据え置きとなったものの、声明文や政策金利見通し(ドット・チャート)などの内容は予想以上にタカ派的だったと受け止められ、結果的にドル円相場は日米金融政策の方向性の違いを手掛かりにした円売り・ドル買いの流れが続いています。
ではチャート上でもドル円の状況を確認していきましょう。
ドル円の日足分析
今回は日足の分析から始めていきましょう。下図のチャートはドル円の日足チャートになります。前回(8月2日)からの推移を確認すると、過去に同水準を巡って激しい攻防があり、重要なポイントとなっていた145.00円付近(チャート上の青色実線)をしっかりとブレイク。
その一方で今年1月安値を始点とする上昇トレンド(黄色点線)や7月14日安値を始点とした短期上昇ライン(黄色実線)などは依然としてしっかりと維持されています。
当然ながらここからの上値目処は心理的節目となる150.00円や昨年10月21日高値の151.95円となるでしょう。下値については前述した145.00円付近が今度はサポートに転じる可能性があるほか、8月24日安値の144.60円や同月23日安値の144.54円、9月1日安値の144.45円(いずれもチャート上で丸で囲った部分)などが目処になりそうです。
ドル円の週足分析
さて、ここまではポジティブな話題を中心に見ていきましたが、ここからはリスク面についてお話しようと思います。ドル円の下値リスクというと注目はやはり政府・日銀による円買い介入の行方でしょう。今回は週足チャート(執筆した9月25日時点)で介入の警戒ポイントについて確認していこうと思います。
上図チャート上の丸で囲った部分は前回、約11年ぶりに為替介入が実施されたポイントです(昨年9月22日)。その当時の状況と現在を比較すると、チャート下部に追加した「DMI」ではいずれも上昇トレンド(+DI>-DI)となっていますが、トレンドの強さを示すADXは昨年9月時点と比べて大きく低水準に位置。現在の上昇トレンドがそれほど強いものでないことを示唆しています。
また、前回介入が実施された時点までの推移を確認すると昨年3月上旬からドル円の急速な上昇が開始され、介入時点までの上昇幅は約半年で27%に達していました。これに対して今年1月の年初来安値を起点として今回の上昇幅は約8か月間で17%ほど。比較的ではありますが現時点では上昇が抑えられているようにうかがえます。
さらに「ボリンジャーバンド」でも見ていきましょう。ボリンジャーバンドによると前回の介入時点では+2σを上回った際に実施されました。現在のボリンジャーバンド+2σ水準は150.00円付近ですが、+2σ以下に抑えられています。相場が急激に上昇した場合はボリンジャーバンドも拡大していくため、この150.00円という水準は固定ではありませんが、少なくとも現状から考えると150.00円以下の水準では介入の可能性も否定的に見てよいのではないでしょうか。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。期間内に日米の金融政策公表は予定されておらず、基本的にはインフレ動向を中心に一つ一つの経済指標を追っていくことになりそうです。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
9月29日 米国 8月個人消費支出(PCEコア・デフレーター)
10月6日 米国 9月雇用統計
10月12日 米国 9月消費者物価指数(CPI)
10月20日 日本 9月全国CPI
10月27日 米国 9月PCEコア・デフレーター