これまで様々なテクニカル指標を解説する際に、前提の価格線として「ローソク足」を使用してきましたが、「ローソク足」はそれ自体でもチャート分析が可能な指標でもあります。今回からは改めて「ローソク足」について紹介していきます。
ローソク足の基本的な見方
「ローソク足」は日本生まれのチャートで、海外でも「キャンドルチャート」として広く愛用されています。1本の足で「実体」と「影(ヒゲ)」を使って始値、終値、高値、安値の情報を記しています。
ローソク足では始値と終値を使って「実体」部分を形成します。始値<終値の場合は「陽線」と言い、「実体」部分は白抜きで表現。一方、始値>終値の場合は「陰線」と呼び、「実体」部分は黒抜きで塗りつぶします。この「実体」部分から高値と安値まで実線を引くことでローソク足は完成です。実線は「影(ヒゲ)」と呼ばれ、高値まで伸びた線を「上影(上ヒゲ)」、安値まで伸びた線が「下影(下ヒゲ)」などを呼ばれています。
なお、始値=終値の場合は「実体」部分が無くなり、寄引同事線などと呼ばれますが、後ほど解説します。
ローソク足の注意点
「ローソク足」はそれ自体で相場の強弱などを推し量ることができる便利なチャートです。1日の値動きを内包した日足、1週間(為替市場では月~金曜日)までの動きをまとめた週足、1カ月間の動きを表した月足など長い時間軸もあれば、日足よりも短い時間足(1時間のみではなく、2時間足や4時間足など様々な種類あり)、分足なども「ローソク足」でそれぞれ表現されます。
1つ注意しておきたい点は、1種類の「ローソク足」からは断片的な途中経過の情報しか得られないこと。上記のチャートは同じローソク足で表されますが、その期間の実際の値動きを見ると大分印象が異なるでしょう。①では徐々に下値を切り上げている上昇相場の印象を受けますが、②では上下を繰り返しただけで明確な相場の方向感は乏しいと感じるかもしれません。
このような時間経過は1種類のローソク足では確認できないため、複数の時間軸でローソク足を見る必要がでてきます。別のチャート指標を解説した際にもお話しましたが、「相場判断の際には複数の時間軸を確認する」ということは非常に重要です。
では、次回以降はローソク足を用いた分析手法を紹介していきます。1つのローソク足からなる「単線分析」、複数のローソク足を使用した「複数線分析」など様々な種類があるので、しっかりと確認していきましょう。