今回解説していく通貨はトルコリラ円です。トルコ銀行(中央銀行)では2月に入って早々にエルカン総裁が一身上の都合で総裁職を辞任。新たに総裁に就任したカラハン体制のもと、3月21日の直近会合では政策金利が据え置きの市場予想に反して引き上げられました(45.00%から50.00%へ)。また、声明文では今後の追加利上げに関しても含みを持たせており、今後もしばらくトルコの金融政策には注意が必要となりそうです。では、チャート上でもトルコリラ円の状況を確認していきましょう。
トルコリラ円の週足分析
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。前回の解説(1月31日)からの推移を確認すると戻りの鈍い動きが続いており、3月には4.54円まで史上最安値を更新する場面も見られました。
今回のチャートに追加した「一目均衡表」によると、基準線>転換線、抵抗帯(雲)>価格線、26日前の価格線>遅行スパンの状態となっており、強い売りシグナルとされる「三役逆転」が点灯中。チャート下部に追加した「DMI」でも-DI>+DIの状態が続いており、いずれのテクニカル指標からも現在が下降トレンドであることがはっきりと示されています。さらにトレンドの強さを示すADXも上昇基調にあり、下降トレンドの衰えも現状では窺えません。
トルコリラ円の日足分析
ただ、日足で確認するとやや異なる様相も見られるようです(下図のチャート、15日執筆時点)。
チャート下部に追加した「DMI」では+DIと-DIがほぼ重なって推移しており、短期的には明確なトレンドが示唆されていない状態です。
一方で「一目均衡表」によると基準線<転換線、26日前の価格線<遅行スパンとなっており、価格線が抵抗帯(雲)を上抜けると強い買いシグナルとされる「三役好転」が点灯します。一目均衡表の雲自体は非常に薄く、仮に上抜けたとしても今後サポートとして機能してくれるか心もとないですが、価格線の雲上抜けですら約1年ぶりということを考慮すると、久しぶりに相場反転に向けた大きなチャンスが巡ってきたと考えてもよさそうです。
それでは相場が反転した後に意識されるであろうレジスタンスポイントも確認しておきましょう。最初のポイントは2月23日につけた年初来高値の4.94円。年初来高値の更新および5.00円の節目回復が達成できれば、昨年7月18日安値の5.11円付近、昨年8月24日高値の5.76円付近(いずれもチャート上の青色実線)などにターゲットが移っていきます。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日本・トルコの金融政策。日銀首脳部はこれまで緩和的な環境が継続するとの見通しを繰り返しており、4月会合も波乱なく通過する可能性が高そうです。一方、市場ではトルコ中銀が4月会合でも追加利上げに踏み切る可能性があるとの指摘も。サプライズ的な利上げとなった3月会合の後ということもあり、注目を集めるでしょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
4月19日 日本 3月全国消費者物価指数(CPI)
4月25日 トルコ トルコ中銀、金融政策決定会合
4月25-26日 日本 日銀金融政策決定会合
5月3日 トルコ 4月CPI