今回解説していく通貨は南アフリカ・ランド円です。前回の解説(8月16日)以降に開催された南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)の金融政策決定会合では、9月21日開催分が金利据え置きとなりました。これで2会合連続での据え置きとなりましたが、金融政策委員会(MPC)の5名のうち2名が25bpの利上げを主張していたことが明らかになっており、次回(11月23日)も注目を集めることになるでしょう。
では、チャート上でもランド円の状況を確認していきます。
ランド円の週足分析
下図のチャートはランド円の週足チャートになります。前回の分析(8月16日)からどのように推移したかを見ていきますと、今年5月安値を始点とする上昇トレンド(黄色実線)は維持できているものの、上昇の勢いは感じられず。チャート下部に追加した「DMI」でも+DI>-DI(上昇トレンド)の状況ではありますが、トレンドの強さを示すADXは低下基調が続いており、「はっきりとした上昇トレンドとは言えない」状態が続いているようです。
また、2021年6月高値(丸で囲った部分、8.18円)を足もとで超えられていないことも気懸かりです。前述の今年5月安値(6.91円)を目指して下落していくと「ヘッドアンドショルダーズ」を形成する可能性もあるため、引き続き注意が必要となるでしょう。
ランド円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。今年5月安値を始点とする上昇トレンドライン(黄色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。今回は「一目均衡表」も追加しています。一目均衡表によると、遅行スパンは価格線を上回っており、雲は価格線より下に位置。
ここまでは問題ないのですが、肝心の基準線は方向感が乏しく、転換線と重なって位置しています。基準線が上昇しているかどうかが相場上昇の必須条件であるため、一目均衡表からは明確なトレンドが示唆されていない状況です。
足もとの状況を見ると横ばい(ボックス圏)相場の様相となっていることから、ここからはひとまずボックス圏の脱出が重要となるでしょう。今年7月以降は7円台後半のレンジ推移となっていますが、ボックス圏脱出の目処は下値が7月7日安値の7.46円、上値が7月31日高値の8.07円になります(いずれもチャート上の丸で囲った部分)。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日本・南アフリカの金融政策。日銀は10月30-31日、南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)は期間内ではありませんが11月23日に金融政策決定会合が予定されています。
また、SARB総裁が前回の会合で「財政基盤の悪化でカントリーリスク・プレミアムが上昇し、金融政策が制約的かどうかを判断する金利水準が引き上がる」と言及していることから11月1日に予定されている中期予算も注目されそうです。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月18日 南ア 9月消費者物価指数(CPI)
10月20日 日本 9月全国CPI
10月30-31日 日本 日銀金融政策決定会合(会合後に日銀総裁の記者会見)
11月1日 南ア 中期予算公表