今回解説していく通貨はNZドル米ドルです。NZでは前月に公表された10-12月期国内総生産(GDP)が2四半期連続でのマイナス成長となり、定義上では「テクニカルリセッション(景気後退)」に陥ったことが明らかになりました。景気減速懸念の高まりによってNZ準備銀行(RBNZ)の利下げ前倒し観測が強まるなか、10日に予定されている金融政策委員会(MPC)での判断が注目されます。では、チャート上でもNZドル米ドルの状況を確認していきましょう。
NZドル米ドル週足分析
下図のチャートはNZドル米ドルの週足チャートになります。前回の分析時(1月17日)からの推移を確認すると、長期視点では2021年2月高値を始点とする下落トレンド(チャート上の黄色実線)が継続中。今年の2月下旬から3月上旬にかけて上昇する場面もありましたが、下降トレンドラインに迫る前に再び失速しています。
また、今回のチャート下部に追加した「MACD」で確認しても、3月に入ってマイナス圏に転落(売り示唆)しており、現在が下落トレンドであるという判断をフォローする内容となっています。
その一方で、今後の相場を占ううえで注目すべきポイントが迫ってきているようです。それが2022年10月安値を始点とした上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)の存在。現在が下落トレンドである以上、このトレンドラインが機能するかどうかは現時点で未知数ですが、同線で相場が下げ止まることになれば前述した下降トレンドラインに再びトライする可能性もあり、三角保ち合いへの移行なども考慮する必要が出てくるしょう。
なお、同線は本日時点で0.5880米ドル台に位置しており、1カ月後には0.5905米ドル付近まで切り上がる見込み。その他では昨年10月26日安値の0.5774米ドルや2022年10月13日安値の0.5512米ドル(いずれもチャート上の丸で囲った部分)なども今後の下値目処として意識されそうです。
NZドル米ドルの日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。下降トレンドライン(チャート上の黄色実線)と上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。また、今回の日足チャートでは「一目均衡表」も加えてあります。
一目均衡表で確認すると、現在は転換線<基準線、価格線<抵抗帯(雲)、遅行スパン<26週前の価格線の状態となっており、「三役逆転」の強い売りシグナルが点灯中。日足ベースではより鮮明な下落トレンドとなっているようです。
明確な相場の方向性が示されていることもあり、短期的には一目均衡表の転換線や基準線、雲などを目処にした戻り売りなども有効となるでしょう。その他では昨年12月28日高値を始点とした短期の下降トレンドライン(チャート上の黄色点線)なども今後はレジスタンスとして機能する可能性がありそうです。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。注目はNZと米国の金融政策。両中銀とも次の一手は利下げと予想されていますが、緩和開始の時期を巡って思惑が広がりそうです。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
4月5日 米国 3月米雇用統計
4月10日 NZ NZ準備銀行(RBNZ)、金融政策委員会(MPC)
4月10日 米国 3月消費者物価指数(CPI)
4月17日 NZ 1-3月期CPI
4月26日 米国 3月PCEコア・デフレーター
4月30日-5月1日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
5月3日 米国 4月米雇用統計