相場のトレンドを探る手段として前回まで紹介してきたトレンドラインのほかに、「移動平均線」というツールがあります。「Moving Average Line」として世界中で利用されている「移動平均線」について、今回はお話してきます。
トレンドの把握が容易に
移動平均線は価格の平均を取ることで、一時的なバラツキを排除し、トレンドの方向性を把握することを容易にします。
最も単純な利用方法は移動平均線が上向きで推移していればトレンドも上昇傾向、移動平均線が下向きで推移していればトレンドも下降傾向というもの。
下図は豪ドル円のチャート。5日移動平均線を追加しています。5日移動平均線でしっかりと相場の上昇・下降トレンドを確認できますね。
短期?長期?移動平均線の特徴
さて、この移動平均線ですが計算方式も比較的簡単です。単純移動平均線の場合、5日移動平均線ならば直近5日間の終値を合計し、5で割ることで算出できます。
移動平均線には単純移動平均のほかに、加重移動平均や指数平滑移動平均などもありますが、一般的には単純移動平均線が利用されるケースが多いです。
さらに移動平均線は1日の終値を基準にした「日足」移動平均線のほかにも、「時間足」や「週足」、「月足」など様々な時間軸を基準にすることが可能です。
また、「日足」だけでも●日移動平均線としていくらでも作成することができますが、一般的には5日、25日、75日、200日がよく採用されています。それぞれの特徴は以下の通りです。
・短期移動平均線
長所:相場の推移に対する反応が早く、トレンドの変化にもすぐに気づくことができる
短所:一時的な過変動にも反応するため、いわゆる「だまし」に引っかかることも多くなる
・長期移動平均線
長所:一時的な急変動に惑わされる可能性が低くなり、「だまし」を回避できる
短所:相場の変動に対する反応が遅くなり、トレンドの変化にも気づきにくくなる
複数の移動平均線を準備すべし
短期・長期の移動平均線の特徴が分かる例として、下に年初来からのドル円チャートを用意しました。
短期移動平均線として5日線(青線)、それよりも長期の移動平均線として25日線(紫線)を付け加えてあります。
まず、5月上旬から6月上旬にかけて相場が上下した場面ですが、5日移動平均線では一時的な下押し局面とその後に再び上昇へと転じる流れをしっかりと把握できていることが分かりますね。対して25日移動平均線はいったん横ばい気味の推移になった程度で、この局面では有効に機能しませんでした。
ただ、その後の6月中旬には短期移動平均線の弱点が露呈。この2日間の下落を5日移動平均線を基に取引すると「だまし」に引っかかる可能性もあったでしょう。一方、25日移動平均線を利用すると今回の短期的な変動による「だまし」は避けることができました。
このように移動平均線の採用期間は短期であれ長期であれ一長一短で、どちらが優れているというものではありません。自分の取引スタイルに合わせた上で、基本的には複数表示し、取引の判断基準に利用していきましょう。